親と子の郷土史講座とは、西宮市立郷土資料館の開館当初から毎年夏に
開かれていて、小学校5、6年生と保護者を対象にした 郷土史の講座で、
西宮市内の小学校の先生方が講師をされます。
今年のひとつ目の講座は、阪神電車と阪急電車と西宮のかかわりについてでした。
まず、南甲子園小学校の松村先生による「阪急電車から見る西宮」です。
明治43(1910)年に箕面有馬電気軌道としてスタートした阪急電車は
大正9(1920)年に神戸線が開通したときに西宮北口駅と夙川駅ができ
大正10(1921)年に西宝線が開通、門戸厄神駅開業 (甲東園駅と仁川駅は後年開業)
大正13(1924)年に甲陽線が開通 (苦楽園口駅は後年開業)
大正15(1926)年今津線が開通 (阪神国道駅は後年開業) と路線が伸びました
ただ現西宮市域にはすでに国鉄と阪神電車が走っていて、阪急電車は
田畑の真ん中をまっすぐに走っているため乗客が少なかったそうです。
そこで乗客を増やすための戦略が、他の阪急沿線にもみられるように
1.住宅地をつくる (甲風園・甲東園・仁川・夙川などの経営地)
2.レジャー施設を作る (宝塚歌劇、阪急西宮球場、西宮ガーデンズなど)
3.学校を作る (関西学院大学を神戸から誘致)
というもので、これらの乗客を増やそうという活動がのちの西宮の発展に
大きな影響を与えたということです。
引き続き、北夙川小学校の小山先生による「阪神電車駅物語」です。
明治38(1905)年に開業した阪神電車は大阪~神戸間に駅が34もあり、路線は
まっすぐではなくくねくねとカーブが多いです。
それは国鉄の線路より南の地域の村々をつなぐような路線にしたためで
開業時は現西宮市域に鳴尾-今津(現在の久寿川)-西宮東口-西宮-戎の駅が
できました(武庫川駅もできていたが尼崎側にあった)。
阪神電車も後の阪急電車と同じく乗客獲得のためいろいろな事業を手がけ、
鳴尾の百花園でいちご狩り、河川改修で武庫川支流の枝川と申川を埋め立てた
土地を買い取ってそこに甲子園大運動場や阪神パークや海水浴場などの
レジャー施設を作ったほか、住宅地の開発もしました。
そのほか、第二次大戦中にできた武庫川線には国鉄から資材を乗せた列車を
浜にある川西航空機の工場へ引き込むための三本レールがあったとか、
明治時代末の香櫨園には遊園地があって御前浜の砲台もレジャー施設として
使われたとか各駅にちなんだ話をいろいろ聞きました。
今ではただ便利だなと感じるだけですが、阪神阪急が西宮の発展に大いに
かかわっていたのだということが改めて分かりました。
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<第29回 親と子の郷土史講座 平成25年8月16日(金)10:00~11:30>