第39回特集展示 「瓦林の大庄屋 岡本宇兵衛」
2013年4月2日(火)~5月12日(日) 西宮市立郷土資料館
5月8日(水)の歴史講座「大庄屋の生活―岡本宇兵衛の日記を読む―」を聴講して
展示を見た感想ご紹介します。
江戸時代、尼崎藩領瓦林村庄屋岡本家は近隣の庄屋のまとめ役の大庄屋でした。
現在に残されたさまざまな記録は「岡本家文書」として西宮市指定文化財となっていて
なかでも文政年間(1820年頃)から書かれた「大庄屋日記」は当時の生活を研究する上で
とくに貴重な資料として有名だそうです。
ただ、今回の講座は「大庄屋日記」と呼ばれている史料の少し前の時代の大庄屋
岡本宇兵衛(1702~1779)が書き残した日記3冊の研究についての紹介です。
「覚日記(おぼえにっき)」は寛保3(1743)年~寛延2(1749)年に書かれた大庄屋の
仕事の備忘録的な日記で尼崎藩の役人との付き合い(贈答品)の記録が中心です。
「数歳万覚日記(すうねんよろずおぼえにっきちょう)」は延享3(1746)年~明和5(1768)年と
明和5(1768)年~天明3(1783)年の2冊が残っていて、こちらは日常生活の記録が
中心に書かれていて、今回の講座は主にこちらの内容についての発表でした。
当時の日記は出来事の記録だけでそれに対してどう思ったかなどは書かれていないの
ですが、それでも内容は多岐にわたり学芸員さんも話したいことだらけだそうです。
そんな中でも私が面白いと思ったものは、氏神の日野神社にあった神宮寺では
たけのこが有名で毎年尼崎藩士が見物に来るとか、守部村(現尼崎市)のめがね屋で
めがねを作っていたとか、子供たちが子犬や子猫を拾ってきて飼うようになったとかです。
また、年中行事の記録で1月10日と8月22日の西宮神社へ参詣していて、これは
もちろん十日戎と例祭(現在は9月22日の西宮まつり)のことで、江戸時代の人も
今の私たちも変わらないんだなと思いました。
展示品としては古文書ばかりでなかなか読めないのですが、こうやって解説して
もらうととても興味深い内容ばかりなので、これからの研究が楽しみです。