2015年8月12日(水)の歴史講座
「観天望気—自然とつきあう知恵と祈りの伝承について—」
を聴講した感想ご紹介します。
講師の西尾学芸員から天気の観測の歴史や伝承、民俗学の聞き取り調査の
様子などを聞きました。
観天望気(かんてんぼうき)とは、自然環境や生物の行動などを観察して
その知識や経験をもってその地域の天気を予測することで、ことわざとか
土地の伝承など先人の知恵として今に伝わっています。
ただ昭和の頃に土地の古老と言われるような人たちに話を聞くと、その人の体験と
親から言われたことなどその土地の明治時代やもしかしたら幕末のころに
言われていたような話も聞くことが出来ましたが、近年では人の移動も頻繁で
広範囲になったり、情報過多の時代なので親から聞いた話だったかテレビや
印刷物から知った話だったかなどあいまいになったりするので、聞き取り調査の
結果の分析もなかなかむつかしいものがあるそうです。
歴史的には、聖書にも天気を観察していた記述があるそうですが、機器を使っての
観測が盛んになったのはガリレオガリレイが温度計を作った1600年ごろの
ヨーロッパからだそうです。
日本では文明開化の後、明治17(1884)年6月1日に初めての天気予報が発表され、
百葉箱のデータなどを人が地道に計測することから、自動のデジタルデータで
計測できる時代になって、ピンポイントの予想もできたりして便利になりましたね。
ツバメが低く飛ぶと雨、月が笠をかぶると雨、モズが餌を木の高いところに
刺すと大雪、甲山の雲のかかり具合で判断するという灘の漁師の伝承など
なんとなくそれ分かるというものから、雷が鳴ったらへそを隠すとか下駄を
蹴って表に向けば晴れなどのおまじない的なものまで、いろんな伝承を聞きました。
天気を見極めて生活に不都合ならそれなりの対処を考えて、どうしてもの時には
雨乞いや豊作祈願をするなどの昔の人の知恵はなんとなく古臭いようにも
思えるけれど、天気予報に頼り切らず自分の五感で天候の変化を感じることも
今の時代にも大切なことではないかというお話しでした。