第11回西宮博物館・資料館連携講座 「和鏡の文様―そこに込められた意味―」
2013年11月6日(水)を聴講した感想をご紹介します。
黒川古文化研究所の川見典久さんによる解説で、日本で作られた鏡「和鏡」の
文様について教わりました。
日本で作られていた鏡というと基本的には丸い形で、銅と錫(すず)の合金である
青銅製で、錫の割合が多い(20~30%程)と白っぽい金属になり鏡面を磨くと
輝くそうで、背面にはいろいろな模様が施されていてそのデザインの変遷に
ついてが今日の講座のテーマです。
奈良時代のころは中国から伝わった図柄を模倣したもので一対の鳳凰が
描かれていることが多かったのですが(下写真左)、平安時代のころから
国風文化という日本独特の美意識が発展してくると鳳凰に代わりオシドリが
描かれるようになったり(下写真右)、当時の絵画でも表現されていたような
風景画的な表現が鏡にも用いられるようになったそうです。
鏡は神仏への奉納品だったり婚礼道具の一つとして作られる事が多いものだから
なのか、背面の 文様は長寿や夫婦和合などの願いが込められためでたい意匠が
作られました。
松喰鶴文、蓬莱図、住吉図・竜宮図、菊水文など多く作られた図柄について
それらの文様を見て、伝承の由来となった中国や日本の出典を 解説してもらい
ながら変遷をたどりました。
鶴が松の枝をくわえた図、亀が背中に蓬莱山を乗せている図、鳥居と社殿と
松・波・船などの組み合わせの図、菊花の流れる川の図などをスライドで
拡大しながら細かい細工をじっくり見ることが出来ました。
今日は鏡の文様ということでしたが、類似の表現例として絵画や工芸品を
見せてもらい、意匠についてはこれから工芸品などを見るときにもとても
役に立つなと思いました。
また参考文献を図書館で探してみましたが、鏡を取り上げた出版物は
見つけられなかったので、今開催中の展示で勉強してみようと思いました。
追記:後日展示を見に行きましたが想像していたより現物が小さくて
(直径10cm程)、でも鋳造の技術の細かさは素晴らしかったです。
きれいに輝く鏡面の方の展示があったのもよかったです。(2013.11.9.)
鏡に込められた思い - 日本人の信仰と吉祥 –
2013年10月19日(土)~11月17日(日) 10:00~16:00 月曜休館 入館料500円
http://www.kurokawa-institute.or.jp/
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次回は第12回西宮博物館・資料館連携講座
「西宮出身の画家・森狙仙と周辺の画家たち」 担当:黒川古文化研究所
2013年12月4日(水) 13:30~15:00 西宮市立郷土資料館2F講座室 聴講無料