江戸時代の漢学者と古鏡収集

第36回西宮市内博物館等連携講座  2016年3月2日(水)
「江戸時代の漢学者と古鏡収集」 (講師・黒川古文化研究所の杉本欣久さん)
を聴講した感想をご紹介します。
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江戸時代にあった古鏡収集が盛んな時期に、取引されていた鏡は中国からの
輸入品ではなくて日本の古墳などからの出土品だったという話でした。
その当時に書かれた書物の内容をスライドで見せてもらうと、鏡の文様を
丁寧に表現した挿絵や、鏡の拓本を筆でそっくりに書き写した写本の数々など
関心のある人の熱意はすごいなぁと思いました。

そういった資料には「この○○出土の鏡は○○からもらった」「この話は○○から
聞いた」「この写しは○○に描かせた」など当時の情報の伝わり方をたどれそうな
内容も書かれています。
ということで、その関係ある人たちを次々と説明されましたが、松平定信や
本居宣長や木村蒹葭堂ぐらいは名前は知っていますが、あとは聞いたことない
人物名が次々と出てきました。

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私は聞いたこともない名前ばかりでしたが、それらの好古の士の分類としては、
国学者(日本書紀研究で古墳などにも関心)、有職故実家(刀や馬具など各時代の
様式を研究)、愛石家(石を鑑賞する趣味で勾玉管玉なども収集)、漢学者(古代中国で
完成した理想の政治を研究し古銭なども収集)といったものがあるということでした。

それぞれの分野のなかでの全国的なつながりにより各地の情報を教えあい、また
複数の分野に関わる人脈からさらに情報が広がっていたというのが、複写機もなく
通信手段も限られていた江戸時代なのにすごいなと思いました。

 

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次回は第37回西宮市内博物館等連携講座
「山林利用の変化とたたら製鉄業の発展」 2016.3.9.(水) 13:30~15:00
講師:笠井今日子(西宮市立郷土資料館学芸員)
http://www.nishi.or.jp/contents/0002037400040004800699.html

 

 

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