井戸からみた阪神地域

12月19日(水)の歴史講座「井戸からみた阪神地域―弥生から中世の発掘資料―」を
聴講した感想ご紹介します。

発掘調査で井戸はしばしば見つかるそうで、阪神間の遺跡から出土した井戸について
報告書の写真や図面を見ながら説明を聞きました。

2012.12.19.

まず、井戸は弥生時代の頃からあると考えられているそうです。
ただ飲料用としては川の水や湧き水などを利用することが多かったと考えられていて、
他の理由として稲作に、環濠集落の堀に、青銅器加工に必要だった、などいろいろ
考えられるようですが何をきっかけに井戸が出来たのかはっきりわからないそうです。

また、井戸の構造としても材質で分類したり工法によって分類したりと研究者によって
いろいろあるということも説明がありましたが、井戸枠の材質が素掘り・木・石・土器など
という分類が私には分かりやすかったです。

尼崎の深田遺跡では奈良~鎌倉時代の井戸がとてもたくさんの出土しているとか、
芦屋の寺田遺跡では奈良・平安・室町時代の井戸がひとつずつ、4~5mほど離れた
だけの場所に掘られていたりとか、面白い遺跡を紹介してもらいました。

そして西宮の井戸は、ガーデンズのところにある高畑町遺跡から、奈良時代の
官衙(かんが・役所のこと)にあったような立派な井戸や、井戸枠に甕を使った
平安時代の井戸などが出土しているそうです。

 2012.12.19. 2012.12.19.

さらに今年、西宮神社社頭遺跡で発見された縦板組みの井戸も紹介されましたが
こちらは調査中にもどんどん水が湧いてきて調査が大変だったそうです。

井戸枠の周りにも水が溢れ出す 2012.12.19.

阪神間の遺跡の井戸を比較してみて、奈良時代のものなどは工法などに
そう地域差はないそうなのですが、鎌倉室町時代に大阪や奈良でよく見られる
羽釜を重ねて井戸枠に使うものは尼崎では見られるそうですがそれより西のほうでは
ほとんど見られないなどの特徴もあるようで、さらに詳しく比較してゆくとまた何か
おもしろい発見があるかもしれませんね。

 

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