『江戸東京実見画録』という本にも竜吐水の事が少し書かれていました。
天保13(1842)年生まれの筆者が若いころに見た江戸東京のあれこれの思い出を
明治の終わりころに書き残したものなので、記憶違いなども多少あるようですが
火事の事や竜吐水のことが書かれていたので覚書のメモ。
「町家の出火」図には消火活動中の絵の中に竜吐水や屋根上の用水桶の図あり。
説明には「深さ二尺五寸廻り三尺に過ぎざる木製の箱なり。桶で水を汲入れ人力で
押し出すものなれば、何れも消口は水を以てせしに非ずして」とある。
「丸の内同」図には大名の火事場警固の絵に竜吐水や大団扇やはしごなど。
「奥女中の火事場立退きと町火消」図には竜吐水など持って行列する町火消の絵と
「町火消の火事場にての働と繰出す有様は、なかなか勇ましきものなり。(中略)
此如き人数の集まる時間だと階子・刺股・竜吐水の如きものを携帯する故、
不少時間を要し、小火にては中途から引返すが如き場合、屡々あり」とある。
また解説文によると、別の本に「自身番と火事場行の弁当」という図があるというので
探してみたところ、印刷が薄く字も読みにくく、肝心の部分がまだ読めていません。
『旧聞日本橋』 (国立国会図書館デジタルライブラリー コマ56)
参考資料
『江戸東京実見画録』長谷川渓石画 進士慶幹・花咲一男注解 (岩波文庫 青577-1)
筆者の娘が大正8年に刊行し、それを底本に昭和43年に注釈付きの本が刊行され、
その注釈付き本を底本に平成26年岩波文庫より刊行。
- 竜吐水調査に関連する調べ物の覚書 -
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