草双紙を見ていると家々の屋根の上に何か載っているのに気が付きました。
調べてみると、これも火事に備えて水を溜めておく用水桶だそうです。
以前に見た「火の用心見立そうし」の「竜吐水で…もう四五軒水を揚げたら」
という、屋根の上に水を汲み揚げておくべき設備でしょうか。
こんな小さな桶に水が溜まっていた所で、消火の役に立つのかいつの間にか
干上がっていないか疑問ですが、備えるという心構えは大事ですよね。
吉原の俯瞰図の部分ですが、屋根の上に四角いものが並んでいる部分に赤丸を
つけてみました。 <寛政9 (1797)「絵本吾妻抉」3巻コマ5>
下左図は同じく吉原の様子で背景の人物と重なって少し見えにくいのですが、
屋根の上の四角い柵の中に木桶があり、ほうきのようなものと渦巻キャンディーの
ようなものが立てられています。 <安永10(1781)「遊客古事附太平記」コマ13
上右図は屋根の上で捕物をしている部分ですが、桶にわらを巻いてから縄を巻いて
ほうきのようなものが2本立っています。 <文化7 (1810)「江戸染杜若絞」コマ19>
前の記事の「絵本三家栄種」の用水桶の横にも、右にほうき左に渦巻の一部分だけ
見えてる様子が描かれています。
おそらくわら製で、水に浸して火を叩き消すような使い方をする物でしょうか。
また屋根の上には何もないと思っていましたが、2階から出入りする物干しが
1階の屋根の上に作られてもいたようです。
天明7 (1787)「絵本詞の花」コマ9のこの挿絵には、右に朝顔が咲いている横長の
植木鉢があって、左には七夕の笹飾りがあります。
笹の奥にはしごがあってさらに2階の屋根の上に登れるようになっていますが、
これはまた次の記事で。
史料は国立国会図書館デジタルコレクションより。
- 竜吐水調査に関連する調べ物の覚書 -
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