『江戸丁々火用心道具品数附』という資料、縦35cm横70cm程の大きな紙に
ぎっしりと書かれている中から一部抜粋です。
国立国会図書館デジタルコレクション『火水風災雑輯(1)』コマ46。
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2592140
タイトル部分には、消防道具のはしご・金棒・さすまた・提灯・とびくち・のぼり・
桶・竜吐水が描かれています。
町火消いろは四十八組の装備の一覧かとも思ったのですが、よく見ると
町の名前ごとに分けられているので、各町々の自治会?の自衛組織のための
防火用具「火用心道具」(タイトル通り)の一覧ですね。
江戸の町の様子が全く分からないので○○町がどのくらいの規模なのか
見当がつかないのですが、どの町も同じような種類の道具を備えています。
「はしご」「りうこし」「げんば」「ておけ」は大体持っているようで、
そのほか「つるべ」「かごつるべ」などあり、それらは通りや屋根の上の
用水桶に水を汲み揚げて備えておくものではないかと思います。
ごくまれに「天りう水」(天竜水・竜吐水)や「水でつほう」(水鉄砲・竜吐水の
ピストン部分のみのようなもの)を持っているところもありますが、これも
水を汲み揚げるのが目的ではないでしょうか。
「たかはり」「長でうちん」などの提灯と、町名を示す幟があるところでは
その図案が描かれているようで、これらは火の用心の警戒中やまたは火事消火の
応援に行ったときに手伝いに来たとアピールするための物ではないでしょうか。
又ごくまれに「さすまた」の絵が描いてある町もあります。
今まで読んだ江戸の消防に関する本の中では、消火の七つ道具として玄蕃桶や
さすまたや鳶口などは出てきましたが「りうこし」は見たことがありませんでした。
でも年代は不明ですがこの資料には「りうこし」だらけですので、防火道具としては
一般的なものだったのではないでしょうか。
前に書いた農具の竜骨車と全く同じものかわかりませんが、同様の物があっただろうと
いうところまではわかったので、この二か月程悩んでいた問題が一応解決した事にします。
- 竜吐水調査に関連する調べ物の覚書 -
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