江戸時代の航海術

例年夏休みに開催されていた、小学校教師が講師を務める小学5~6年生向きの
歴史講座 「親と子の郷土史講座」 がリニューアルし、郷土資料館や博物館の
学芸員がその専門性を生かした講座をおこなう内容になりました。
2019年7月28日(日)に行われた「江戸時代の航海術」(郷土資料館笠井学芸員)の
内容を簡単に紹介します。 

江戸時代初期には大坂江戸間の航海は平均30日ほどかかっていましたが、後期に
なると平均12日ほどにまで短縮されました。
初期の「地乗り」という航海法では、陸地の高い山など目印を確認しながら海岸沿いを
昼間のみ航海して、夜は港に停泊するたびに翌日の天気によってすぐ出航できないなど
待ちの時間が長かったようです。
それが「沖乗り」という陸の見えない沖を昼夜通して数日航海を続けるということが
出来るようになったことで航海日数が短縮されるようになりました。

これはに大きく丈夫な船を作れるようになった、大きな帆で早く進むようになった、
方位磁石を使って航海するようになった、など船の性能向上ということがあります。
そこで昔の航海に使われていた和磁石を見て、その仕組みを作ってみることになりました。

江戸時代には方角は東西南北だけでなく干支の名前を付けて12等分でも表していました。
北が子(ね)に当たり時計回りに丑寅夘…と続く「本針(ほんばり)」が 現代の方位磁石と
同じ原理ですが、 さらに船で使うものは反時計回りに方角を配置した「逆針(さかばり)」で
船首に子(北)の目盛りを合わせて設置して使ったものです。

円形を12等分し、親子で一枚ずつ本針と逆針の方角を書き込み、中心を切り抜いたら
方位磁石にはめ込んで工作の作業は完成です。
言葉で聞くだけではむつかしいのですが、東西を反転させた逆針の磁石をつかうと
北を示す針が自分が進んでいる方角を指すことになります。
ちょっとした工夫ですが一目でわかるので間違えなくていいですね。

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