2012年6月3日、苦楽園にある西宮市指定史跡「老松古墳」の史蹟整備が完了したことに
ともなう現地説明会がありました。
老松古墳は芦屋と西宮にまたがる八十塚(やそづか)古墳群に属する古墳で、石室の
全長6.34m、最大幅1.82m、最大高2mの横穴式石室と、それを覆う長径約10mの
楕円形の墳丘からなっています。
石室からは、銀製耳環一対、須恵器、鉄器の断片が出土しました。
須恵器の形式から見て7世紀始め頃に埋葬されたものと考えられます。
-史蹟説明版より抜粋-
苦楽園五番町バス停からすぐの高台にあるのでここからの眺めはとてもよく、「逆に平地に
住んで生活している人たちからも自分の先祖のお墓もふくめ、山の斜面に盛り土をしたお墓が
ぽこぽことあるのがよく見えていたわけです」という説明を聞いて、いま韓国に残っている
古墳群のイメージに近いのかなと思いました。
横穴式石室というのは簡単に言うと入口があって廊下が伸びていて奥に埋葬用の部屋がある
構造を石組みで作りその上に盛り土をしているというもので、追葬が可能なお墓になります。
この老松古墳は羨道(せんどう・廊下)から見ると玄室(げんしつ・埋葬用の部屋)が左側に
広がっている片袖式と呼ばれるもので、さらに玄室の壁が直線ではなく曲線に作られている
「胴張り」というタイプだそうです。
(上の写真は手前が羨道の途中で奥が玄室、左側の石組みがゆるくカーブしています)
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羨道の中にある大きな石は本来石室の屋根にあたるものでしたが、阪神淡路大震災で
ずり落ちてしまったのだそうで、地面がが緑なのは風化して土砂が流れていかないように
保護のため今回の整備で芝生をはったのだそうです。
普段は施錠されていて自由には見学できないのですが、西宮市文化財課のほうへ
見学希望の旨を申し込めば案内してくれるそうです。
また、盗掘にあっているそうですがそれでもいくつか出土した須恵器などは香枦園にある
西宮市立郷土資料館で常設展示されています。
ケーブルテレビのベイコムが取材に来ていて、今週火曜から放送予定だそうです。
「ベイコム・地元ニュース」
2012.6.5.(火)~6.11.(月) 20:30~ ほか曜日によって11:30~なども放送あり
http://baycom.jp/new/service/cable_tv/community/news/index.html