第33回西宮市内博物館等連携講座 2016年1月20日(水)
「考古学とは何か-入門考古学1-」(講師・辰馬考古資料館館長の上原真人さん)
を聴講した感想をご紹介します。
昔のことを研究する歴史学と言われる学問はいろいろありますが、一般的には
文字資料を扱う文献史学がその中心的なもので、ほかにも伝承を扱うのが民俗学、
古習俗を残す現代民族を扱うのが文化人類学、そして物的資料を扱うのが考古学、
などがあり、それらを含めて大きく歴史学となるそうです。
なので考古学とは一般的には古代史の研究だと思われがちですが、古代史でも
文献を対象とする研究もあるし、また江戸時代や明治時代のものであっても
考古学的研究の対象になるそうです。
例えば江戸時代に江戸や京都にあった藩邸のあとを調査すると、その近辺で焼いた
瓦ではなくて本国(自分の藩)で作った瓦が出土することがあるそうで、このことから
藩邸の経営は本国の経済圏に含まれると考えられ、これは文書や絵図だけでは
なかなか分からないことです。
また、何か特別な出来事があれば当事者はもちろん直接関係のない人も伝聞として
書き残すことが多いので文献資料が残りますが、文字に残すまでもないありふれた
日常については残されたモノから推察するしかないので、考古学というのは
どの時代の研究についても必要だし対象とする範囲もとても広いのだなと改めて
理解することが出来ました。
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次回は第34回西宮市内博物館等連携講座
「横穴式石室副葬品と死者の世界-大手前大学発掘古墳の出土品からー」
2016.2.3.(水) 13:30~15:00 講師:森下章司(大手前大学教授)
http://www.nishi.or.jp/contents/0002037400040004800699.html