第30回西宮市内博物館等連携講座 2015年12月2日(水)
「箱書の伝えるもの」 (講師・辰馬考古資料館の青木政幸さん)
を聴講した感想をご紹介します。
箱書というと、お茶の道具や掛け軸などをしまうための箱に墨で書かれたもので、
その作品の品名と作者名だったり、その道の専門家が過去から伝わる名品を
鑑定した証拠として書いたりするようなイメージがなんとなく思い浮かびますが、
今回は辰馬考古資料館所蔵品の銅鐸や銅鏡などを保管する箱に書かれたものに
ついて説明がありました。
美術品とはちょっと違って、そのものが発見された日時や状況やサイズなどが詳しく
書かれることがあり「畑で鍬に固いものが当たるから掘り出したら銅鐸だった」とか、
箱のふたの表には「古銅花瓶」として伝わっているけれどふたの裏には「考古学者に
よると銅鐸という2000年前の楽器だという」などの由来が書かれていたりします。
(下写真・江戸時代ごろに銅鐸の上の飛び出た部分を切り、ひっくり返して花瓶として
茶道で使われていたもので、上記の由来は昭和二年に所有者が書き留めたもの)
そして、辰馬考古資料館といえば北辰馬初代の悦叟(えっそう)と親交のあった
画家富岡鉄斎の作品が有名ですが、悦叟の所蔵品に鉄斎が箱書きをしたものもあり
これは銅鏡よりも箱書きの方だけが鉄斎展に展示されたりするそうです。
(下写真・「為辰馬老人 富岡百練題」辰馬老人(悦叟)の為に富岡百練(鉄斎)が題字?
を書いた というような意味か)
普段の美術館博物館の展示では美術品そのものしか見ることがないのであまり
気にしたことはありませんが、箱書もじっくりみると面白い内容があるんですね。
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次回は第31回西宮市内博物館等連携講座
「日本酒と税の歴史」 2015.12.16.(水) 13:30~15:00
会場:白鹿記念酒造博物館(入館料400円) 講師:大浦和也(白鹿記念酒造博物館)