第34回西宮市内博物館等連携講座 2016年2月3日(水)
「横穴式石室副葬品と死者の世界-大手前大学発掘古墳の出土品からー」
(講師・大手前大学教授の森下章司さん) を聴講した感想をご紹介します。
2002年に調査して県内最古級の横穴式石室を持つと分かった神戸市北区の
南所(みなみんじょ)3号墳の調査をもとに、どんな道具を使って掘削しているか、
写真や図面などでどのように記録に残しているか、など調査方法について
具体的なことを説明してもらいました。
古墳のはじめは竪穴式石室で墳丘の上に穴を掘って一人(一度)だけ埋葬していた
ものが、朝鮮半島から横穴式石室が伝わって墳丘の横に出入り口を作ったので
追葬出来て時代の違う人が複数埋葬されている場合があり、そういったことは
副葬品の置かれている位置や焼き物の時代変遷の型などからわかるそうです。
それらの事からこの古墳では時期の違う3人が埋葬されたとみられ、ガラス玉や
金属製品も出土していますが、金で加工されていない鉄製品なのでそんなに
位の高い人ではなかったと推察されるそうです。
大学で考古学を学ぶということは、教室でのお勉強だけでなく発掘を調査を
体験することもとても大切なことですが、長期休暇中に合宿してその休みの間に
ひととおり終わらせることが基本となるので準備もいろいろと大変だそうです。
実は私も大学時代に少しだけ発掘調査を手伝っていたことがあるので、夏冬の
屋外調査の厳しさや、土を削ってもなかなか質の違いを見つけられない苦労や、
室内での接合や実測などの細かい作業の大変さを思い出しました。
資料を見たり、調査中の様子を動画で見たりして話を聞いた後、最後に研究室で
実際の遺物を見て手に取ったりしながら、また解説を聞きました。
古墳についてはやはり関心のある人が多いようで今日の参加者は多かったし、
先生にたくさん質問している人も多かったですね。
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次回は第35回西宮市内博物館等連携講座
「江戸時代の念仏行者」 2016.2.17.(水) 13:30~15:00
講師:俵谷和子(西宮市立郷土資料館学芸員)
http://www.nishi.or.jp/contents/0002037400040004800699.html