第21回西宮市内博物館等連携講座 「西宮市山口町の袖下踊りと伝説」
2014年11月26日(水)を聴講した感想をご紹介します。
講師は西宮市立郷土資料館学芸員の俵谷和子さんで、まずは盆踊りとは
どういうものかの説明を聞きました。
『日本民俗学辞典』によると、「通常盆の13日から16日にかけて、寺の境内や
町村の広場などで、老若男女大勢によって踊られる。盆に招かれてくる精霊を
慰め、またこれを送る踊りと考えられている。」ものだそうです。
秋田の西馬音内(にしもない)盆踊りや岐阜の郡上おどりなど、日本各地に伝わる
精霊を供養する要素が残っている盆踊りの紹介や、盆踊りの元になったという
念仏踊りの説明も聞きました。
そして、西宮市指定無形民俗文化財である山口町の袖下踊りです。
飛鳥時代の孝徳天皇が有馬に行幸された時に山口の里に立ち寄られたことを喜び、
それを手ぶりにあらわしたのが起こりと伝えられているそうですが、ただ今に
伝わる踊りは、手を頭の方まで高く上げることは少なくすり足で歩くなどの
踊り方や歌の形式から江戸時代の様式が伝わっていると考えられるのだそうです。
本当に古代から続く踊りが少しずつ変化したのかもしれませんが、もし
江戸時代に新たに作られたものだとしたら、なぜその時期に孝徳天皇の伝承に
基づく踊りが始まったのかと考えるのも民俗学の面白いところだそうです。
最後に聴講に来ていた山口町の方から、毎年お盆に上山口・下山口・名来・中野の
各地区で、また地蔵盆にも盆踊りをしていると紹介があり、2年に1度は各地区
集まって大きい公園での盆踊りをしたり、小中学校の運動会でも袖下踊りの
プログラムがあるそうで、地域全体で受け継いでいる様子がよくわかりました。
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次回は第22回西宮市内博物館等連携講座
「絵画にみる中国の酒文化」 講師:竹浪遠(黒川古文化研究所)
2014.12.10.(水) 13:30~15:00 大手前大学史学研究所