今年は、戦後80年という節目の年。
野坂昭如氏の同名の原作から生まれたアニメ『火垂るの墓』には、市民にとって見覚えのある背景も多く出てくる。(こちらもご参考に➡︎)
ここしばらく地上波での放送もされなくなっていたスタジオジブリの作品の『火垂るの墓』が、2025年8月15日(終戦記念日)に「金曜ロードショー」(日本テレビ系)で7年ぶりに放送されることも発表された。
また、ネットフリックスで『火垂るの墓』が7月15日から国内初配信決定している。
昨年海外で大きな反響を呼んだという作品を、改めて鑑賞するきっかけになればいいなと思う。
野坂昭如氏の実体験をもとに創作された物語は心を揺さぶり、少し心が重くなる場面もある作品だが、今回、陽なたの会がドキュメンタリータッチの朗読劇に仕上げ、山口ホールでの上演を控えている。
山口ホールで上演の朗読劇『火垂るの墓』
日時 2025年6月28日(土)①13:00〜 ②16:00〜
会場 西宮市山口センター内 山口ホール (西宮市山口町下山口4丁目1−8)
<会場へのアクセスはこちらから➡︎>
主催 NPO法人シャクナゲ・子供の家(陽なたの会)
協賛 株式会社JIB/火垂るの墓記念碑委員会
内容 朗読劇「火垂るの墓」
料金 無料
『火垂るの墓』を書いた野坂昭如氏の平和への願いを、作品の聖地でもある西宮で形にしたいという土屋純男氏を代表とする「火垂るの墓記念碑委員会」が寄付も集め、震災記念碑公園に火垂るの墓記念碑を立てたのが2020年だった。
その活動を支えた方達の中で、「火垂るの墓」という作品を知らない人も多いということを知った人たちで、深海百合子さんが活動しているNPO法人「シャクナゲ・子供の家」の地域貢事業の一環ととして「陽なたの会」が立ち上がり、朗読劇『火垂るの墓』を上演している。
これまでにも、地元大社小学校の平和学習授業や近隣の公民館などで上演してきたが、今年は西宮市制100周年記念事業としてクラウドファンディング➡︎も利用しながら、山口ホールでの上演を迎える。


ドキュメンタリー仕立てにした朗読劇
地元で図書ボランティアや読み聞かせなどをされている方々などが中心になって立ち上がった「陽なたの会」。
「朗読だけより、動きをつけた朗読劇の方がいいと思いました。」と脚本・演出の深海百合子さんはいう。
「この作品は読んでいるだけでも悲しい作品ですし、脚本を書くのも悲しかったです。ただ、子どもたちに観てもらうことを考えて、ドキュメンタリーのように事実だけを積み重ねようと思いました。余白を残して・・・。そして、最後は観客の方々が、それぞれの思いで余白を埋めて下さったらいいなあと思っています。」
そんな深海さんは稽古前に演者にも「自分の感情を出すのではなく、事実を積み上げることに注力してください!」と指示を出していた。
アニメでもなく、実写のドラマや映画でもない朗読劇と言う手法が、野坂さんが描いた戦争の日々を懸命に生きた幼い兄妹の想いが深く胸に迫ってきた。
ぜひこのチャンスに、朗読劇の火垂るの墓を鑑賞してみませんか?!
以前は、8月になれば必ずアニメ「火垂るの墓」が放送され、家族でそれを見ることで日本人の多くがその作品を知っていた。
ただ最近、テレビ放送の機会もなくなり、今の子どもたちは作品を知らない子も多いようだ。
少し重い内容でもあるが、今年は戦後80年ということで8月15日に地上波で放送されるということも発表されている。
野坂さんの「忘れないでほしい!話してほしい!歩いてほしい!」という願いを、改めて考えてみたいと思う!
『火垂るの墓記念碑建立実行委員会』と『陽なたの会』
野坂昭如さんが2015年8月16日の朝日新聞阪神版に寄稿された記事の最後はこんな言葉で結ばれている。。
「阪神間には、今も『火垂るの墓』の主人公の足跡を訪ねる人がいるという。歩きつづけてください。戦争を忘れないでください。舞台は何も変わっていない。』
毎年、火垂るの墓の舞台を歩く会を企画している市民団体もあり、参加者は後を絶たないようだ。
西宮でも野坂さんの平和への願いを『火垂るの墓記念碑建立』に込めたいと、土屋純男氏が実行委員会立ち上げ、寄付金も募りながら2020年に西宮市震災記念公園の一角に記念碑をたてた。➡︎
そんな動きを支援する中で、地域住民を中心にしてできたのが今回の朗読劇を上演する『陽なたの会』だ。
NPO法人「シャクナゲ・子供の家」の地域貢事業の一環として2021年から活動を始めている。
戦後75年の節目に記念碑を建てたいという土屋さんの思いが人を巻き込み動かした。
そして戦後80年の今年は、朗読劇の『火垂るの墓』を西宮市100周年記念事業として山口ホールで上演する。
音響も照明も、舞台美術も演者も全てが素人で、ただ平和への思いで集まったメンバー。
これまでより大きな舞台で演ずることになり、練習にも力が入っていた。
ふるさと納税型クラウドファンディングで朗読劇『火垂るの墓』を応援♪
地方自治体が特定の事業(プロジェクト)を提示し、それに共感した寄付者から寄付を募るというのがクラウドファンディング型ふるさと納税。
今回、西宮市は100周年の記念事業をこの仕組みを使ってこの事業を支援している。
朗読劇『火垂るの墓』も、この仕組みを使っている。
この事業の支援はこちら➡︎
火垂るの墓記念碑
野坂昭如氏の「戦争には悲しみしか残りません。」という言葉と出会った土屋純男氏が、数年をかけて仲間を増やし戦後75年になる2020年に『火垂るの墓記念碑』が完成した。
碑の近くに植えられたアンネのバラも一緒に丁寧に守られ、今年は戦後80年を迎える。
大社小学校内に残されている戦争の遺構
今回、朗読劇の練習風景を取材しに行って、大社小学校に残されていた戦争の遺構の存在を知った。
学校関係者にしか目に触れない展示物だが、朗読劇を見終わった後にその遺構に出会った。
改めて、こうして保存されることの大切さを実感した。
話を聞くだけでは実感できにくいことも、目からの視覚情報が加わると一気に現実感が増してくることと思う。

西宮市も大きな被害を受けた空襲。
そして世界に目を向けるとあちこちで悲惨な状況が見える今!!
戦争のない世界になるためにも、一人ひとりの平和への強い思いを持ち続けることが必要だろう。