終戦から80年:8月15日、7年ぶりにアニメ『火垂るの墓』が地上波で放送される

2025年8月15日は、第二次世界大戦終戦からちょうど80年になります。
終戦直前の1945年(昭和20年)になると、日本国内のあちこちでも空襲が増えて行きましたが、西宮でも何度かの空襲の中で一番大きかったのが8月5日深夜から6日未明にかけての空襲だったようです。

この時の空襲で亡くなった人は、旧西宮市485人、鳴尾村で188人と記録にあるようで、西宮神社の国宝の本殿が焼失したのもこの時でした。

戦後80年ということで、西宮にもとても縁のあるアニメ『火垂るの墓』が、7年ぶりに地上波で放送されます。

アニメ『火垂るの墓』の放送

以前は、夏になると毎年『火垂るの墓』が放送されていましたが、今年は7年ぶりの地上波での放送です、

  • 放送日時:2025年8月15日(金)午後9時
  • 放送局:日本テレビ系「金曜ロードショー」

7年前、2018年4月の放送は高畑勲監督の追悼放送だったんですね。

国内では最近目にする機会がなくなっていた『火垂るの墓』ですが、実は昨年、ネットフリックスで海外向けに配信されて、大きな反響があったそうです。
その大きな反響を受ける形で、2025年7月15日から日本国内向けに初めて「Netflix(ネットフリックス)」で配信されています。

悲しすぎて見れない!という声もありますが、世界のあちこちで戦争が起こっている今、改めて戦争について考えるきっかけにもなればいいなと思います。

『火垂るの墓』とは

作家・野坂昭如氏の自らの体験をもとに1967年に書かれた小説です。
それをもとに、高畑監督の元、スタジオジブリでアニメになったのが1988年でした。
高畑監督の意向で、空襲の様子などがリアルに描かれたといいます。

太平洋戦争末期の1945年6月5日の神戸空襲で焼け出された野坂さん(当時14歳)は、西宮の満池谷町にあった親戚宅やその近くにあった防空壕などでの幼い妹との生活が描かれています。

満池谷町
満池谷町

野坂さんの実体験がもとになっている小説ですが、実際にはもっと悲惨だったっと野坂さん自身がその後語っておられます。
また、作中では意地悪なおばさんとして描いたことを、のちに野坂さんご自身が謝りに行ったということも書かれていたりもします。
妹の年齢も、実際にはもっと小さかった様です。

リアルな表現のアニメで、長く、夏には必ずこのアニメがテレビで放送されていましたが、近年はあまり見かけなくなっていました。

野坂昭如さんが2015年8月16日の朝日新聞阪神版に寄稿された記事の最後はこんな言葉で結ばれていました。
「阪神間には、今も『火垂るの墓』の主人公の足跡を訪ねる人がいるという。歩きつづけてください。戦争を忘れないでください。舞台は何も変わっていない。』

直木賞も受賞した『火垂るの墓』を、改めて読み返してみませんか??

『火垂るの墓』と西宮

作品では、神戸大空襲によって焼け出されたあと、西宮の親戚の家に身を寄せることになっています。

ですから、西宮市はこの作品の聖地(舞台)となっています。
具体的には、おばさんの家のあった満池谷町やニテコ池、夙川や香櫨園浜、回生病院などが出てきます。

ニテコ池
防空壕の場所として描かれているニテコ池

今でも、聖地をめぐるイベントや戦争を考える一環としての市民団体のイベントなども開催されている様です。

改めて、西宮にゆかりの深い作品という目線でも鑑賞してみて下さい。

西宮にある戦争の遺構

戦後80年となり多くの戦争遺構もなくなってきていますが、西宮市平和資料館➡︎などにはさまざまな資料が集まっています。

また、2023年に発行された「平和マップ西宮〜南部〜」という資料にも出会いました。

空襲の跡などが、大社小学校や浜脇小学校、甲子園歴史館などに残されている様ですが、最近、鳴尾で暗渠の工事が進んでいるエリアにある橋が戦争遺構として保管されることが決まりました。
下記のリンクからご覧ください。

火垂るの墓記念碑と朗読劇上演活動

今から5年前、戦後75年となった2020年6月に、西宮市震災記念碑公園の一角に市民の手によって「火垂るの墓記念碑」が建てられました。

この募金活動を応援する中で、「火垂るの墓」という作品を知らない人たちが多いということに気づき、大社小学校エリアの人たちがあ中心になって「朗読劇で火垂るの墓を知ってもらおう!」という活動が続いています。

最近では、大社小学校の平和学習の時の上演だけでなく、近隣の公民館などでも好評を博されました。
そして今年は、西宮市市政100周年の記念上演として、山口ホールでも上演もされています。

世界のあちこちで戦争が起こり、また戦争を心配する声が聞こえてくる時代になっています。
戦争の理不尽さは、体験したものでないとわからないのかもしれません。
だとしたら、日本ではもう80歳以上の方々しか居られないことになってしまいます。

今こそ、耳を傾け眼を逸らさずにいろんな声を聞き、いろんな資料を見たいと思います。

投稿日時 : 2025-08-04 14:29:57

更新日時 : 2025-08-03 14:31:13

この記事の著者

編集部|J

『西宮流(にしのみやスタイル)』の立ち上げ時からのスタッフ。
日々、様々な記事を書きながら西宮のヒト・モノ・コトを繋ぎます。

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