甲陽園駅の駅前、現在の大池の周辺>>に1918年(大正7年)に本庄京三郎氏が経営する「甲陽土地」が開発した「甲陽園」というレジャー施設があった。
「甲陽園」は遊園地や温泉、少女歌劇、撮影所などが集まるレジャー施設だった。
その「甲陽土地」の事務所の建物は1919年(大正8年)に建てられたが、2階の事務所の他に1階にはカフェパウリスタ、地下にビリヤード場、そして一角にはたばこ屋などが入っていた。
昭和の初めに施設が閉じられ、昭和4年の昭和恐慌のあおりを受け、カフェパウリスタも閉店したようだ。
その後建物は民間の方の手に渡り長らく住居として使われていたが、2016年秋、建物の老朽化で取り壊された。
カフェパウリスタというのは、「ブラジル移民の父」と呼ばれる水野龍氏が明治期に始めた喫茶店だった。「カフエ−パウリスタ」は明治44年に東京・銀座で開業した喫茶チェーン。
甲陽園支店としてコーヒーとカフェ文化を西宮でも広めた。
※カフェー(cafe)はポルトガル語でコーヒー、パウリスタ(Paulista) はサンパウロっ子の意味。
解体前に建物が公開>>され、多くの人が見学に行った。
建物の中は、カフェの頃からは何度も改修されているが、建物正面の波千鳥のステンドグラスや外観に当時の面影が残っていた。
建物で使われていた大階段やテンドグラス、扉やシャンデリアなどの建材の一部は日本とブラジルの交流団体「日伯協会」に寄贈された。