2007年リリースの地域情報ウェブメディア、西宮流 (にしのみやスタイル) です。
私たちは、これまで西宮市内で撮影された映画などのロケのお手伝いなどの支援も行ってきました。
神戸女学院をご卒業されている三島有紀子監督の『幼な子われらに生まれ』は、東京が舞台とはっきりわかるヒューマンドラマですが、その家族が暮らす場所として、西宮市の名塩ニュータウンが三島監督のたっての希望で選ばれ、映画のタイトルバックやポスターにも名塩の風景が出てくる作品となりました。
この記事では、西宮市内の『幼な子われらに生まれ』の聖地を、地元・西宮のウェブメディアがご紹介します。
『幼な子われらに生まれ』とは
直木賞作家・重松清の同名小説を原作に、つぎはぎだらけのパッチワークのような家族の中で成長していく不器用な大人たちを、リアリティあふれるタッチで、かつ優しく見守るように描いたヒューマンドラマを三島有紀子監督が映画にし、海外の映画祭でも様々な賞を得た作品です。
バツイチ子持ちで再婚した中年サラリーマンの主人公・信(浅野忠信)と二度目の妻・奈苗(田中麗奈)とその連れ子の二人の娘と共に、平凡ながらも幸せを感じて生活していました。
仕事への熱意はあまりないが、2度目だからこそ家庭を大事にし、連れ子にも父親として誠心誠意接しているつもりでしたが、奈苗の妊娠が発覚し、それを契機に長女が「ほんとうのパパ」に会いたいと言いはじめ…。
血の繋がりのない他人と家族になるために、「父」や「母」という役割に葛藤し、成長していく大人たち。
彼らの姿を通して「幸せのカタチ」が浮かび上がっていく…というヒューマンドラマです。
<主な出演者>
浅野忠信・田中麗奈・宮藤官九郎・寺島しのぶ・南沙良・鎌田らい樹・新井美羽・水澤紳吾・池田成志他
三島有紀子監督
西宮流と『幼な子われらに生まれ』のかかわり
当時の西宮市都市ブランド発信課のご協力のもと、名塩での撮影に同行取材させていただき、何度か名塩の撮影現場にお邪魔しました。
三島有紀子監督とは、『繕い裁つ人』の時にインタビューさせていただいたのがご縁の始まりでした。
2022年には、ドリパスの仕組みを使って阪急西宮ガーデンズのトーホーシネマズ西宮で三島監督の舞台挨拶付きの復活上映も果たしました。
それでは取材で撮影した風景を皆さんにも見ていただきたいと思います。
この作品の家族が住むイメージにぴったりと思った三島監督が説得して、東京が舞台の作品に名塩の風景が流れることになりました。
「駅を降りて斜行エレベーターに乗ると、もうそこは完全に人の営みの居住のまちになっているのが魅力でした。高速道路から見える名塩ニュータウンの風景は以前からとても印象に残っていて、いつか映画で使いたいと思っていました。今回、海外での映画祭にも行きましたが、『あの風景は日本のどこにあるのか?』という質問もたくさんいただきました。」by三島有紀子監督
『幼な子われらに生まれ』聖地巡礼スポット
2016年、名塩ニュータウンで撮影された様子やスポットをご紹介しましょう!!
名塩ニュータウンは1991年に街開きした新しい街です。
山を削っての開発ではなく等高線にこだわった開発がされ、「創造の丘ナシオン」と言う愛称のように街のあちこちにアートが共存しているところです。
斜行エレベーターの1階や3街には、池田満寿夫氏の作品も多くありますので、是非ご覧になってください。
また『東山台さくら通り』という幹線道路がありますが、春には桜の綺麗な街です。
名塩駅前
名塩ニュータウンの斜行エレベーター
駅と上の住宅をつなぐ斜行エレベーターは、市道扱いの施設です。
エレベーターは2機ありますが、ここでは主演の浅野忠信さんが、家族の元に帰るシーンが撮影されました。
家族へのお土産は、アンリシャルパンティエのケーキでしたね。
アンリシャルパンティエは、西宮の久保町に本社機能のあるお菓子メーカーです。
住民の方々のご協力で、夕暮れからのエレベーターの一機が撮影に使われました。
東山台北公園
木々の葉の揺らぎを撮影するだけのシーンでしたが、太陽の光の加減が難しかったようで、長時間の街の時間があったりしました。
映画館で作品を見て、撮影シーンが蘇りました。
夏祭りのお神輿のシーン
名塩ニュータウンお一角が、主人公たちの住む家でしたが、夏祭りのシーンが中庭で撮影されました。
地元の生瀬皇大神社の協力もえて、地元子供会の子どもたちも集まりお神輿を担ぐシーンが撮影されました。
タイトルバックの名塩ニュータウンの風景
この作品は海外の映画祭にも参加し作品賞も受賞しています。
海外の映画祭に参加した三島有紀子監督は「この風景は、日本のどこにある風景なのか??と、よく聞かれました。」とおっしゃっていました。
やはりインパクトのある風景だったようです。
名塩ニュータウンは、その開発の時に『等高線』を重視して造られた街です。
そのおかげで、均一に同じ方向を向いた建物が並ぶ他の開発地とは大きく印象が変わるのでしょう。
また、斜行エレベーターの1階や3階の広場にある池田満寿夫さんの造形物のほか、街のあちこちにアートがある街になっています。
映画のポスターにもなった斜行エレベーター横の階段
作品中でも、主人公とその娘がこの階段で話すシーンもありました。
若い人や朝夕は、この階段を利用している人も多いようです。