初詣や十日戎で西宮神社にお参りされる方は拝殿脇の「逆さ門松」に注目。
2007年末の記事では 西宮独特の風習の「逆さ門松」を紹介したが
(下記【西宮独特の風習「逆さ門松」】を参照)、2009年からは 神社に伝わる文書や絵巻を元にかつて作られていた形に近いものが復元されている。
それは、枝葉のついたままの竹にこもを巻き松の枝をさかさまに取り付けたようなものだったらしく、門前町の家々に飾りつけられた様子はまるで林が茂っているかのようだったと伝えられているそうだ。
その門松を復元して奉納するために材料を調達し飾り付けたのが西宮神社の分社である三田市の三田戎神社の氏子の方々だ。
最初の年には、地元三田で松の枝と竹を用意したが、竹の根を付けたまま掘り出してみると長さ15メートルもあったため、さすがに長すぎるという事で長さ8メートルほどに整えて西宮神社へ運んできたという。
西宮神社の神職と相談しながら拝殿の前に飾り付けてゆくが、西宮神社としてもはじめての事であり試行錯誤しながらの飾り付けだったようだが、今ではすっかり風物詩となってきている。
西宮神社に出かけたら、本殿の入り口に飾られた門松を見て欲しい。一見普通の門松のように見えるが、よく見ると・・・松が逆さになっている。これが西宮に古くから伝わる独特の門松「逆さ門松」。
その言われはは諸説あるが、旧西宮町では1月9日の夕方、背の低いえびす様が町内を巡行される時、えびす様が目を突かれないようにと、門松の松を逆さにしていたという。このとき町内ではむしろやすだれで戸口を閉じて、えびす様の姿を見ないようにじっと家の中で過ごしたそうだ。
つまり逆さ門松は思いやりの心、こまやかな心くばり。昔から西宮の人ってそういうあたたかさを持っていたのだなと、うれしくなる。その気持ちは私たちが受け継ぎ次代につないでいかなければ。
一方、漁師町であった鳴尾(旧鳴尾村)では、漁の神様であるえびす様が、打ちあがった鳴尾に里帰りをされるため、この風習は4日に行われていた。1960年頃までは、西宮神社の近辺や鳴尾地区で見られた風景だったと言う。
武庫川女子大の生活環境学部の三宅正弘准教授が、この「逆さ門松」の風習を復活させようと、授業である「まちづくり論」の学生を巻き込んで逆さ門松を手作りしたり、鳴尾の商店街に飾ったりという活動をしている。
若い人たちが古い風習を大切に育んでくれる・・・これもキャンパスタウン西宮らしい取り組みだ。
西宮むかし話(西宮青年会議所)には、えびす様が町内を巡行される時の様子が「夜ごもりの晩のはなし」として載っている。
(この記事は2013年1月掲載時点でのものです)