「法安寺伏流」「札場筋伏流」「戎伏流」の3つの伏流水のブレンドが、かつて海だった宮水地帯のミネラルと合わさって、酒の発酵を助けるカリウム、リンなどを多く含みミネラルが豊富で鉄分が少ない、酒造りに適した「宮水」になっている。
この地域で湧く水に注目したのが、神戸魚崎村の酒造家6代目の山邑太左衛門。(櫻政宗)
それまでの日本酒は夏を越すと味が落ちるというのが常識だったが、西宮の水で仕込んだ酒は夏を越し、秋になってますます味が良くなることから「秋晴れ」と称賛されていた。
仕込み水の違いが酒の出来を大きく変えるという事を山邑太左衛門が発見した。
こうして『男酒』と言われる灘の生一本には、この西宮の水が欠かせないものとなり「西宮の水」がやがて「宮水」と呼ばれるようになった。
宮水は今でも大切に管理されていて、「宮水保存調査会」が地下水への影響を最小限にとどめるための活動を行っている。
ここより北になるが越水城趾があった近くの 越水井戸>>にも、「宮水保存調査会」からの調査が来るという。
離れてはいるが、何らかの関係性があるのだろう。
久保町にある酒造会館の東には、山邑太左衛門が「宮水」を発見したと伝えられる「梅の木井戸」があり「宮水発祥の地」の碑が立っている。
また、大関・白鹿・白鷹の3社の宮水井戸敷地はきれいに整備され「宮水庭園」として公開されている。
新米で酒造りを始めるのが10月ということで、10月1日は「日本酒の日」に制定されているが、西宮では1997年(平成9年)から、酒ぐらルネサンスと食フェアと一緒に、10月の第一土曜日の午前に久保町にある宮水発祥の地記念碑前で「宮水まつり」が行われている。
梅の木井戸にて 祭りの酒だる
今では、近くの蔵元は直接パイプで宮水を引いたり、タンクローリーで運んだりしているが、昔は水屋という商売もあった。
水を運ぶ大八車などについてはこちらから>>
水を運ぶ大八車などが、ぬかるんで動けなくなると困るということで、板状の石をレールのように敷いて、その上そ大八車の車輪が通ったという。
板石道>>
2020年6月、神戸市、尼崎市、西宮市、芦屋市、伊丹市(幹事市)の
5市が申請を行った『「伊丹諸白」と「灘の生一本」下り酒が生んだ銘醸地、
伊丹と灘五郷 』が 日本遺産>> に認定された。