大関酒造の長部家五代目長兵衛氏によって、江戸にお酒を運ぶ 樽廻船>>の航海の安全を願って1810年に建てられた今津灯台。
1984年に創建当時そのままの姿に復元され、現在に至っており、西宮市指定文化財に指定されている。
そんな今津灯台をシンボルにした、西宮の酒文化と歴史の再発見をめざすプロジェクトが始動するという。
創業1711年創業の日本酒メーカー・大関株式会社と、今年市制100周年を迎えた西宮市、地域のマーケティング会社である株式会社シードが「今津灯台歴史文化再発見コンソーシアム」を発足させた。
プロジェクトの背景
今回は、日本最古の現役民間灯台である「大関酒造今津灯台」を核に、文化財としての灯台を地域の誇りとして再定義し、日本酒と西宮市の発展の歴史や魅力を国内外に発信することを目的となっている。
昨年、「伝統的酒造り」がユネスコの無形文化遺産に登録決定されたことで、西宮市も日本酒発信に力を入れている。
今津灯台
今津灯台は1810年、大関株式会社の創業家である長部家五代目・大坂屋長兵衛によって、今津港を出入りする船のために私財を投じて建てられた。
灘の酒は樽廻船で江戸へ運ばれ、「下り酒」として高い評判を得ていた。
以来200年以上にわたり、“酒と文化を運ぶ希望の灯”として現在も現役の灯台として活躍している。
2024年には、津波・高潮対策の水門整備に伴って、灯台は河口の西側から東側に移ったことにより、今はLEDになっているアカリは、緑色から赤色へと変わった。
今津灯台は文化財として指定されていることから、移転時には、木造の灯台部分は台船でそのまま運び、土台の石組はきちんと番号を振って元通りに組まれ、歴史的価値が損なわれることなく新川の左岸に立っている。
2025年度の事業内容
今回のプロジェクトは、本年度は調査・検証フェーズとして事業が実施される。
■ 基礎調査の実施
今津灯台に関連する地域資源を洗い出す。
酒文化や港の歴史と深く関わる伝統行事や文化財を発掘・整理し、ツアーやコンテンツに反映させる。
さらに「えびすかき」や、能の「高砂」に謡われる鳴尾など、文化芸術も調査するという。
■ バスツアーなどのコース設計
今津灯台を中心に、西宮神社(えびす宮総本社)、関寿庵、大関株式会社、西宮能楽堂などを巡る文化・歴史コースの設計し、インバウンド旅行会社への売り込みも目指すようだ。
■ 今津灯台を模した移動式居酒屋
水門の建設と共に新川の左岸に移転した今津灯台は交通量の多い道路に囲まれていて、アクセスが悪いという課題がある。
そこで、「灯台から会いに行く!!」ことができれば、全国の人たちへのPRになるのではないかと考え、今津灯台を模した移動式居酒屋の制作を検討しているという。
今津灯台を模した移動式居酒屋が、どんな風に実現するのか楽しみに待とう!!
