昭和5年に甲子園ホテルとして竣工した建物。
「東の帝国ホテル(現在は明治村で建物の一部を保存)、西の甲子園ホテル」と並び称されたホテルで、阪神間における高級社交場としても賑わった。
今は武庫川学院が譲り受けている。
西宮市都市景観形成建築物指定・経済産業省近代化産業遺産の認定・国登録有形文化財に登録・兵庫県景観形成重要建造物の指定などの重要な建築物。
阪神間モダニズムを語る時に外せない建物の一つが、この旧甲子園ホテルだが、ホテルとして使われたのは昭和5年からわずか14年ほどだった。
戦争が激しくなった昭和19年には海軍病院となり、終戦後はそのまま米軍の将校宿舎となった。
その後、昭和32年に米軍が引きあげた後は大蔵省の管理下となっていた。
昭和40年に武庫川学院が譲り受けて、長く荒れ果てていた建物が修復され、教育施設として再生し現在は武庫川女子大甲子園会館として、2006年4月からは生活環境学部建築学科(大学)、生活環境学研究科建築学専攻(大学院)のキャンパスにもなっている。
2020年4月からは、女子大で初めての建築学部になった。
甲子園会館(旧甲子園ホテル)は、帝国ホテルの支配人・林愛作の思いを世界的建築家のフランク・ロイド・ライトの愛弟子として知られる遠藤新が形にしたライト建築。
外観はライト建築を継承する遠藤新の作品らしく、両翼を広げた水平ラインを強調した左右対称の建物。外壁や柱にある幾何学模様の装飾もまさしくライト風だが、両翼には日本瓦を用いた和風の屋根になっていたり、地元阪神間ゆかりの「打出の小槌」がホテル全体のモチーフとして使われているところは、遠藤新の作品らしさ。
シンメトリーの建物の中央部に玄関があり、左右にメインダイニングとバンケットルームが配置されている。
上階の客室では、部屋を出た時に他の部屋の人と鉢合わせしないように通路を複雑にしたり、ドアの位置を工夫した設計になっている。
今も、昔の和室の客室が1室だけ残されているという。
壁や屋根には「打出の小槌」や「雫」をイメージした装飾が施されている。また、西ホールの天井には市松格子なども取り入れられ、日本の伝統美と洋風建築が調和した建物。
東京にあった帝国ホテルは黄色いレンガで造られていたが、こちらの旧甲子園ホテルは小松市で採れる黄色がかった褐色の日華石が使われている。
現在は、武庫川女子大学のキャンパスだが、事前に申し込めば見学も可能。
見学については直接こちらから⇨
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これまでにも映画やドラマのロケ地にもなっている。
映画『秘密 THE TOP SECRET』
映画「日本のいちばん長い日」
ドラマ「球形の荒野」
映画『ALWAYS 続・三丁目の夕日』
AKB48 「センチメンタルトレイン」のプロモーション動画撮影
NHK朝ドラ『まんぷく』
テレビ朝日『科捜研の女』
テレビ朝日『遺留捜査』
兵庫県の近代歴史遺産にも登録されている。
上の写真の中にある『泉水』にも打ち出の小槌の彫刻があるが、実はこの打ち出の小槌が金色に輝く日があるという。
この泉水の反対側の上部の壁に四角い窓が切られているが、冬至の日にはこの窓から入る太陽光で、この打ち出の小槌の彫刻が輝く。
設計者の緻密な計算のお楽しみ(^_-)-☆
武庫川女子大学甲子園会館 WEBサイト>>
西宮市戸崎町1-13 TEL:0798-67-0079
TEL:0798-67-0290 <見学受付専用ダイヤル 要事前予約>
受付時間:月火水木金 午前10時~午後4時
交通:JR甲子園口駅から徒歩約10分
駐車場:なし