阪神甲子園球場が大切に受け継いできた「甲子園文字」があった。
それは、昔の甲子園球場のスコアボードに手書きで選手名を書いていた時の文字。
手書きから変わった後も、甲子園球場では当時の文字を大切にしてこれまで受け継いできたが、甲子園球場100周年と、モリサワの創設者が「邦文写真植字機」を発明して100周年ということで共同プロジェクトになったという。
『甲子園フォント』制作プロジェクト
2024年8月1日に阪神甲子園球場が開場100周年を迎えた。
同じく2024年7月24日に、日本を代表するフォントメーカーであるモリサワの創業者・森澤信夫らが、日本の出版・広告・デザインの発展に大きく貢献した「邦文写真植字機」を発明して100周年を迎えた。
このことを記念し、100周年記念共同プロジェクトとして、同球場のスコアボードで使用してきた伝統の「甲子園文字」を受け継ぐ『甲子園フォント』をモリサワが制作した。
この甲子園フォントは、2025年3月4日(火)のオープン戦(阪神タイガース対中日ドラゴンズ)から同球場のスコアボードで使用を開始されている。
甲子園文字について
1934年に阪神甲子園球場の外野に完成した2代目スコアボードでは、1983年まで、職人が黒い板に毛筆で手書きをした文字が使われていた。
その独特な字形は「甲子園文字」と呼ばれ、甲子園らしさを象徴する伝統の1つとして親しまれてきた。
「甲子園文字」は、明朝体を基にしながらも縦線が太く、横線が細い。
また、手書きのハネ・ハライなどがある特徴を持っている。

1984年にスコアボードが電光掲示板に改修されてからも、球場職員が、甲子園文字を踏襲した球場オリジナルの文字を作ることで、その伝統を受け継いできた。
こうしてこれまで甲子園文字は、人の手で継承されてきまたが、甲子園フォントの制作により、デジタル表示における甲子園文字が完成形となる。
これからの100年を考えて、甲子園文字を安定的に受け継いでいくことが可能となった。
甲子園フォントのデザインについて
今回のプロジェクトの『甲子園フォント』は、『「甲子園文字」の伝統を次の100年に繋ぐ』というコンセプトのもと、より多くの方の読みやすさに配慮したUD(ユニバーサルデザイン)フォントをベースとしてモリサワフォントが制作した。


制作にあたっては、縦画が太くコントラストの高いデザイン、筆の勢いを感じさせる「はらい」や「打ち込み」といった手書きの甲子園文字の特徴を洗い出した。
こうした甲子園文字の筆書きのニュアンスを取り入れながら、太みや文字サイズなどの調整を行って、ビジョンに表示された時も視認性を確保した明朝体として制作された。
『甲子園フォント』の開発を記念して、開発の裏側を映したメイキング動画をモリサワの特設サイトで公開。
メイキング動画はこちら https://www.shashokuki100.jp/koshien/
制作秘話(モリサワ公式note)はこちら https://note.morisawa.co.jp/n/n50ff2e857ef3
甲子園歴史館で特別展示を開催中(4/6まで)
甲子園歴史館で開催中の「センバツ企画展2025」では、『甲子園フォント』に関する特別展示を開催中。
甲子園文字の歴史や甲子園フォントプロジェクトの概要、フォント制作方法などもパネルで紹介されている。
フォント制作の基となる原図や、原図の制作道具などの展示、2024年の阪神タイガース公式戦でモリサワが開催した、甲子園フォント制作を記念した冠試合の様子なども紹介されている。
甲子園フォントグッズ
甲子園フォント誕生を記念したグッズが甲子園eモール、球場ショップ限定で販売される。

