[2024.1.9 2024年の情報を加筆しました。]
西宮神社の十日えびす(えべっさん)で行われる、開門神事・福男選びへの参加方法をまとめました。
西宮流 (にしのみやスタイル) では、2009年から開門神事・福男選びの取材を行ってきました。過去の取材記事等はこちらで読めます。 »開門神事・福男選び (タグページ)
この記事は、2023年の情報及び過去の取材記事を参考に記述しています。参加方法は、その年によって変更される場合があります。正式な情報は、この記事の最後にあります公式情報を確認してください。
福男選び、参加方法の流れ
西宮神社の「開門神事・福男選び」の参加方法の流れは次のとおりです。
- 9日夜間に受付
- 10日0時からくじ引き
- くじ引き後は指示に従い待機、または一旦解散
- 10日午前3〜4時頃に門前に集合、くじで指定されたブロックで待つ
- 6時、開門!
9日の深夜から翌10日の早朝まで、寒い中野外で行動せねばなりませんので、それなりの覚悟を要求されます。
西宮神社の「開門神事・福男選び」とは?
西宮神社は、全国各地にあるえびす神社の総本社です。そのもっとも大きなお祭り、1月に行われる十日えびすで、開門と同時に走り出し、最初に到着した3名を福男として認定する神事が「福男選び」です。
元々は地元だけの行事で、「ひと目でも早くえべっさんにお参りしたい」という近隣住民の思いから自然発生し、江戸時代に現在のように門前で待つ形になったといわれています。
十日えびすのメインの日である本えびす (1月10日)、日付が変わると同時に神社の全ての門を閉じ、忌籠 (いごもり: 外界と一切を隔てて身を清める儀式) が行われます。忌籠が明ける午前6時、福男を目指す参拝者は、早朝、東門 (通称・赤門) から一斉に本殿を目指します。
「福男レース」などと表現する人もいますが、西宮神社の福男選びはレースでもスポーツでもなく、あくまで神事です。これは重要なポイントで、理解できない方には参加は難しいとお考えください。
福男選びの参加資格
福男選びの参加資格は、次のような内容です。
- 走るのに適したスポーツシューズを履いていること
- 安全かつ神事に相応しい服装であること
- 年齢: 中学生以上
- 「参加心得」への了解と署名
いずれも係員のチェックがあり、資格を満たしていないとくじ引きの権利を失います。
まずは、服装について。開門と同時に数百名が一気に走り出すため、現場は危険がつきものです。そのため、コスプレや被り物は認められません。
それから大切な条件として、スポーツシューズの着用が必須です。会社帰りに革靴のままで訪れて、くじが引けずにそのまま帰る人もいるそうな。自分の足にあった走れるシューズをあらかじめ購入して、実際に履いて慣らしておくことが大切です。
「参加心得」は、スタート位置を決めるくじ引きの際に配布され、署名をすると参加が認められます。
福男に選ばれた人はその1年間、西宮神社の行事に奉仕参加することが求められます。これは西宮市から遠い場所に住んでいる方でも同じです。
というわけで、福男選びの参加資格をひとことでいうと、こうなります。
- 本気で福男になりたい人
参加資格の詳細は、開門神事講社のウェブサイトで確認してください。
「福男」だけど、女性は参加できるのか?
「開門神事・福男選び」という名前ですが、女性も参加できます。例年、参加者の2割程度は女性であるそうです。女性が3位までに本殿に入ると「福女」として認定されます。ただ、実際に「福女」認定を受けた方はまだいません。
福男選びに参加できる年齢制限は?
福男選びの年齢制限については、中学生以上 (=小学生以下は不可) と開門神事講社が定めています。場所決めのくじを引く際に係員のチェックがありますので、小学生以下はくじを引くのがそもそも無理、ということになります。
逆に年齢の上限はあるのか、ということですが、こちらは2023年現在、特に明記はされていません。ただし、最前列では危険の伴う神事ですから、あまりに高齢のかたが前列グループをひいた場合は「お声がけ」(後述) もあります。
危険を避けるための「お声がけ」も
中高年の方や体の小さい女性が最前列のくじを引いた際、「安全のため、後ろの列にまわりませんか?」と運営からお声がけがなされる場面もあります。また、車椅子の方も参加はできますが、安全のため最前列からのスタートはできません。
最前列のスタートダッシュはものすごい圧力です。開門と同時に走り出す百名以上の勢いが全て押し寄せるので、たった一人が転んだだけでも後に小山のように人が折り重なってしまいます。
ある年、「お声がけ」を拒否した参加者がスタート直後に転倒、将棋倒し状態を招いてしまいました。もちろん判断はご自身次第なのですが、運営がそれほど安全に気を遣っているということは理解しておくべきでしょう。
後ろのほうからゆったり走って参加、という楽しみ方もあります。全速力で走って福男に選ばれることだけが神事のすべてではありません。走りに自信がない方でも、年に一度しかないその朝の、神妙な独特の空気を味わうために参加するのもいいものですよ。
福男選びのルール
前述のとおり、福男選びは競技でもレースでもありません。神事です。スポーツのように公式に定められたルールがあるわけではありません。
強いていうならば、現場の係員の指示にしたがうこと、がルールといえるでしょう。
例年、マナーを逸脱し運営や他の参加者の迷惑になる人が発生します。開門神事をとりしきる開門神事講社はその都度、ルールを設けて対応してきました。例えば2023年の情報では、くじ引きの際の写真・動画撮影が禁止になりました。実況をやろうとする人がいて円滑な運営に支障が出たということです。
これは筆者の個人的な思いですが、自己顕示欲を満たしたいだけの人や、周りに迷惑をかけても平気な人はどうか遠慮してくれというのが西宮市民としての本音です。後年の参加者がやりにくくなるだけですから。
西宮神社へのアクセス
西宮神社への行き方は、阪神電車で行くのがもっとも順当なルートです。阪神西宮駅から西宮神社までは、徒歩で7〜8分です。
西宮にはほかにJR、阪急の駅がありますが、徒歩ですとJR西宮駅からは20〜25分、阪急西宮北口駅からは40分以上かかります。福男のくじ引きが行われる深夜にはバスの本数もかなり少ないことも考慮すると、やはり阪神電車で行くのがおすすめといえます。
ちなみに、大阪・梅田および三宮 (神戸) ではJR、阪急、阪神の駅はそれぞれあまり離れていませんので、遠方からの方は梅田または三宮で阪神に乗り換えるのがよいでしょう。
車での移動はおすすめしません
えべっさん開催中は周辺の駐車場が特別料金になっているため、車での来場はおすすめできません。1月9日〜11日の間、西宮神社周辺の駐車場の多くは1時間1,000円程度+最大料金なしという高額設定になっています。「休憩場所を兼ねて車で参加したい」という方はご注意を。
くじ引き (スタート位置の抽選)
最前ブロックからの参加を希望する場合は、1月9日22時から開始の受付に行きます。くじ引きは1月10日0時から始まります。くじを引ける人数には制限があり、2024年は1,500名 (先着順) となっています。当選人数は先頭のAブロック108名、続くBブロック108名です。
ちなみに、Cブロック (赤門から道路を渡った位置) からのスタートでゆっくり参拝をご希望であれば、くじ引きに行く必要はありません。
先着5,000名の参拝者には、「開門神事参拝之証」が授与されます。
スタート位置について
開門神事のスタート位置は、くじ引きの結果で決まります (数字は当選人数 [2023年の情報])。
- Aブロック……門にもっとも近い位置 (108名)
- Bブロック……Aブロックの後ろ (100名)
- Cブロック……はずれ (門から道を渡った位置)
当然ながら、福男になるにはAブロック (それもできれば前の方の番号) を当てる必要があります。つまり、福男になるにはくじに当たる運さえも必要! ということですね。
A・Bブロックには当選番号があり、番号ごとにスタート位置が1名ぶんずつ決められています。
福男になるのに有利なスタート位置は?
開門の際、門は観音開きに開いていくため、最前列の真ん中あたりがもっとも早く飛び出せます。取れるかどうかは、くじ運次第ですが。
ただし、一斉にダッシュする100名以上の圧力が集中するのも、門が開き始める真ん中あたりです。危険が伴う位置でもあり、スタートダッシュは本当に難しいのです。
参考までに、過去福男に選ばれた方のくじ順を表にしてみました。
年 | 一番福 | 二番福 | 三番福 |
---|---|---|---|
2023 | 5 | 11 | 43 |
2020 | 31 | 67 | 7 |
2019 | 8 | 3 | 30 |
2018 | 8 | 14 | 26 |
2017 | 5 | 20 | 不明 |
やはり1桁台の番号が目立ちます。ただ、2020年の一番福、二番福の方のように、最前列でないスタートから福男になった例もあります (31番は前から3列目付近)。
必ずしも有利な位置にいれば勝てるとは限らない。そこはやはり神様のご意志がはたらいているのでしょうか、一筋縄ではいかないのがこの神事のおもしろいところです。
くじ引き後から開門まで
くじ引きのあとの行動については、係員から指示があります。赤門前に集合するのは午前3時〜4時ごろです。
開門は6時ですので、待ち時間は寒さに耐えることになります。防寒対策をお忘れなく。またこの間に係員の方からの説明や最終確認がありますので、しっかり聞いておきましょう。
門の中ではこの頃、門押さえの方々が動きの確認などの準備を進めています。
そしていよいよ6時、開門を迎えます。あとは福男目指して走るのみ! グッドラック!
福男選びで走る距離とルート
赤門から本殿までは、約230メートルです。その間には3つのカーブがあります。
本気で福男を目指すならば、境内を下見しておいたほうがいいと思います。ただし、できれば空いている時期にいちど参拝することをおすすめします。宵えびすの9日や初詣の三ヶ日は相当混みますので、ルートの把握はしづらいからです。
以下、写真でポイントをお伝えします。
福男選びのルート
赤門を出ると、およそ50メートルは直線のコンクリートの道。
第一の右カーブ (天秤カーブと呼ばれている) を過ぎると、足元は石畳に変わる。そのあとは100メートルほど直線の参道を走る。
第二の左カーブを過ぎると、参道の真ん中にクスノキが生えているので注意 (審判の楠と呼ばれている)。
最後に右へ急カーブ、本殿へと板坂を上がる。例年、ここで転ぶ人が続出していて、魔物の角&えびす坂と呼ばれている。
本殿に入ると、中央に壱の札が掲げられている。本番ではここで参拝者を受け止める役の神職が待っているので、抱き留められるように目指そう。
福男の賞品 (副賞)
福男になると、次のようなものが授けられます。一番福の場合は次のとおりです。
えびすさまの御木像(大)、半被、えびすさまお面額、特製福笹、えべっさんの酒菰樽4斗(72リットル)、えべっさんの米1俵(60kg)、ヱビスビール、えびすフィナンシェ、松葉ガニなど
引用元: 西宮神社ウェブサイト
福男にふさわしい、おめでたい副賞でお祝いしてもらえます。
ただ、賞品を目指して走る人はいないと思います。賞金もありません。「福男になれたこと」の喜びと名誉が一番の賞、といえるでしょう。
西宮神社の開門神事・福男選びの公式情報
この記事は、西宮のウェブメディア・西宮流 (にしのみやスタイル) がお届けしました。公式情報は、開門神事講社のウェブサイト、または西宮神社のウェブサイトをご覧ください。
»西宮神社 正月・十日えびす 行事のご案内 – 開門神事福男選び
福男への第一歩は、情報収集! 年によってルールや人数の変更がありますから、必ず公式の参加方法を確認したうえで、特に参加資格をしっかり把握して現地へ向かってください。でないと、寒空の中せっかく並んだのに即失格→帰宅、ということにもなりかねませんよ。
西宮流の取材スタッフも現地に赴いている予定です。もしかしたら福男になったあなたに取材するかも? 幸運を祈ります。くれぐれも、ご安全に!
西宮流 (にしのみやスタイル) では、2009年から開門神事・福男選びの取材を行ってきました。これから参加したい方には参考になると思いますので、ぜひ他のページもご覧になってみてください。 »開門神事・福男選び (タグページ)