長年、飲食店の会社に勤め店舗経営にも携わってきた吉川唱恵(あきえ)さんが、生まれ育った小松商店街で念願の定食屋を開業した。
ご近所さんからは「お帰り!」と言う言葉より、 「こんなところで大丈夫なん?」という言葉の方が多かったと言う。
武庫川駅から北へ、旧国道までの「小松商店街」の一角にできた「いちひろ堂」を訪ねてみた。
唱恵(あきえ)さんが「いちひろ堂」に込めた思い
4人掛けのテーブルが一つと6席のカウンターの「おにぎりとお惣菜」のお店が2024年9月に小松商店街の一角にできた。
店主は吉川唱恵(よしかわあきえ)さん。
いつかは自分のお店が持ちたいと言う夢を叶えた!
「店は、小松商店街で開く!」と決めていたと言う。
これまで飲食店で働き、店の経営にも関わったと言う唱恵さんにとって、小松商店街は実は生まれ育った場所。
「いちひろ堂」の斜め前にあるお寿司屋さんは、なんと唱恵さんの名付け親と言う関係性。
また「いちひろ堂」のロゴにある達磨さんは、小松商店街のだるま食堂(唱恵さんはここの孫にあたる。今は閉店している。)から取ったという。
「じゃあ、皆さんからお帰り!!って大歓迎されたでしょう??」
「いえ、こんな所で大丈夫なん??って言われました(笑)」
いちひろ堂のモットーは、母ちゃんが子どもに食べさせたい愛情込めた安心して食べられる食事を提供すること!
「心と身体の元気を作るため、出来るだけ手作りで提供したいと思っています!」
ご自身の子ども達の名前から取って考えたという「いちひろ堂」。
唱恵さんの新しい子どもが、また一人増えたということかも知れない。
今は、次女の千姫(ちひめ)さんが手伝っている。
定食屋「いちひろ堂」の紹介
朝の通勤客を考えて、開店は7時半。
おにぎり2個と味噌汁、漬物で税込550円の朝定食もあるが「ほとんど皆さん、おにぎりを買って行かれますね。」と唱恵さん。
やっぱりサラリーマンは、朝はなかなか座って食べる時間は取れないようだ。
お昼は、おにぎり2個(塩)・お味噌汁・日替わりお惣菜3品・お漬物が付いた「おにぎり定食」税込935円は小さい子どもづれのママも含めて大人気。
テイクアウトの『おにぎり定食弁当』は税込756円になっている。
取材がお昼時だったので、中で食べる人テイクアウトの人と次々に扉が開く。
「おにぎりって、迷うますよね?」と声をかけたくなるほど、たくさんの種類を前に思案するお客さん。
人気を聞いてみると「やはりシャケは人気ですねー」と唱恵さん。
どーんと主張しているシャケのおにぎりを聞いてみると「ここのシャケは美味しいんです!ですからしっかりシャケも味わっていただいて、お米と合わせてもらえれば良いですね!」
開店前には、たくさんのお店のおにぎりを食べ歩いたという唱恵さん。
そうして研究しながら、自分のスタイルを作ってきた。
女川産銀鮭や薩摩赤玉の卵をはじめ、出汁や塩など、唱恵さんのこだわりが詰め込まれているのが「いちひろ堂」。
小松商店街ってこんなところ
「いちひろ堂」があるのは小松商店街の一角。
その小松商店街は、阪神・武庫川駅の北側に伸びるエリアにある。
1989年4月に発行された「NISHINOMIYA WONDER MARKET」という冊子がある。
当時の西宮市商店市場連盟が製作している冊子で、1988年3月時点で取材した商店街や市場の情報が網羅されている。
なんと、当時は西宮市内で63の商店街や市場があったようだ。
もちろん、小松商店街も掲載されている。
唱恵さんにそんな冊子を見ていただいたら「うわーア!!懐かしい・・・。思い出が蘇って来ます!!」と喜んでいただいた。
「そうそう、水明荘もありましたね!!!東京代表の高校野球の球児の宿だったんです。当時帝京高校が強くって、優勝すると商店街に大勢の人が出迎えてましたよ!まだ子どもでしたが、そんな場に行くのが嬉しかったですね。」
当時に比べたら商店街のお店も少なくなっている。
ただ一方で「いちひろ堂」のように新しいお店もでき、新しい付き合いの輪もできはじめているという。
小松商店街の新しい賑わいに注目したい。