西宮市民会館で開催された「アートなおばけやしき」レポート! 作り手も来場者も楽しい夏の思い出に!

狐の面をした人とアートパネル

ゾクゾク怖いおばけやしきと言えば夏の風物詩ですよね。しかし西宮文化振興財団は、おばけやしきで子どもたちを笑顔いっぱいに輝かせてしまいました。
この記事では、西宮市民会館が驚きの大変身を遂げた「アートなおばけやしき」の魅力を舞台裏から当日の様子までたっぷりご紹介いたします。

イベント当日の様子: ゾクゾク!じゃなくてワクワク!「アートなおばけやしき」

「アートなおばけやしき」入口の様子

2024年8月23日、夏の終わりに西宮市民会館の会議室が不思議な部屋に大変身しました!
子供たちを対象にした「アートなおばけやしき」のイベントが西宮文化振興財団の主催により開かれました。受付を済ませ、スタンプラリーカードを持ち、アーケードをくぐればいよいよ冒険のスタートです。怖さでゾクゾク! じゃなくて、楽しく不思議な体験が待っているワクワク時間のはじまりです。

3つのエリアで繰り広げられる不思議な世界

 縁日エリアにて
制作中のアート
たねとしずくによるオブジェ 忘れ物の傘に色をつけたアート作品

一つ目のエリア「美術館エリア」をご紹介します。まず目に飛び込んでくるのは大人くらいの背の高さで赤色と青色の迫力ある「リサイクルパネルのアート」2枚。

次に「かさのオブジェ」の展示。これらアートパネル、傘のオブジェについては後で解説します。

写真家、市田響さんによる街の様子を切り取った写真

そして、市内で活動されている写真家、市田響さんの写真作品「西宮のキリトリセン」。あまり目にしたことのないユニークな写真です。

切り絵アーティストari による繊細な切り絵

最後に、切り絵アーティスト ari の切り絵作品が展示されています。紙を切って作ったとは思えない繊細さですね。

変身エリアにて、フェイスペイントをしている様子

二つ目の「変身エリア」に移動しましょう。1枚のマントを武庫川女子大学経営学部の学生から受け取ります。好きなシールを張り、マントを羽織り、好きなデザインのフェイスペイントをしてもらって変身は完了! いよいよ三つ目のエリア「おばけの縁日」に潜入だー!

白いマントに身を包んだ子供たちが「さあ、おばけ縁日を楽しむぞー! 」といった様子でキラキラ目を輝かせながら参加します。

親子で楽しめたおばけやしきの縁日

ここからは三つ目「縁日エリア」の紹介をします。縁日ですから照明を落とし薄暗い夜の雰囲気です。

 廃木材を使った「妖怪スマートボール」 目玉がいっぱい!!
記念撮影用の妖怪パネル
ダンボールを使った「妖怪顔出しパネル」

縁日エリアの最初のコーナーは、市役所の建築職有志チームhitotokiが作った「妖怪顔出しパネル」での記念撮影と「妖怪スマートボール」の挑戦です。
この妖怪顔出しパネルとスマートボールは、なんと西宮地方卸売市場(おろいち)の廃木材やダンボールを加工して作ってあるんですよ! すごいクオリティで驚きました!

段ボール、ラップの芯などを再利用した「おばけの輪投げ」

次に、赤ちゃん先生プロジェクトによる「輪投げコーナー」。段ボールやラップの芯を使用して作った土台に手作りの輪を投げて楽しみます。特に幼いお子さんが投げる姿がとってもかわいらしい。

みんなノリノリ「おばけダンス」

そして、大人気「おばけダンス」の時間! お兄さんの掛け声に合わせてKDTダンスファクトリーのお姉さんと一緒にダンス、体を動かして踊ります。予定より上演回数を増やして行われました。

「おばけ釣り」新聞紙で制作された愛嬌いっぱいのおばけ
「心霊写真プリクラ」青色のおばけと一緒に写真を撮ってもらえる

最後は「おばけつり」と「心霊写真プリクラ」。名前を聞いただけでワクワクしますね。これらは駄菓子屋あつしさんと福祉事業所ソーシャルスクエアが共同制作しました。おばけ釣り体験は男の子に、おばけとのプリクラ写真撮影は女の子に人気がありました。筆者もおばけとプリクラ写真を撮影してもらいましたよ。

どの縁日も大人たちが「どうやったら子供が楽しんでくれるかな?」と知恵を出し合ったりして工夫されたそうです。

子供たちに文化芸術に気軽に触れる機会に

親というのは我が子が笑顔で楽しんでいる様子、生き生きしている姿を見て自分も幸せな気持ちになるものです。筆者は親子で一緒に楽しい経験ができて、良かったな素敵だなと思いました。

4歳の男の子は「おばけだいちゅきー(すき)!」と教えてくれました。お母さんは「アート単体で子供を作品展に連れていくのは難しいけれど、子供が文化芸術に親しむ良い機会になりました。」とコメントされています。

参加したお子さんはきっと大人になっても「おばけやしき面白かったなー」と覚えていることでしょう。

以上、本番当日のレポートでした。

捨てるなんてもったいない!美しいリサイクルアート

古紙とペットボトルのちょうちん

実はおばけやしきの会場には多数の「リサイクルアート」が配置されています。筆者は会場内をくまなく巡り、設置されているモノ、作品をまじまじと観察しました。これはどうやって作ったのですか? 材料は何ですか? と質問し教えてもらいました。ここでは「リサイクルアートってどんなものか」をテーマに詳しく解説していきます。

リサイクルアートってなに?

「リサイクルアート」=「一つの役割を終えたモノを改めて見つめなおし、新しい価値を作り出すこと」と定義されています。今回のイベントでは、使わなくなった身近な素材や廃材に目をつけています。不用品を何かに作り替えられないかな? と考えて、形を変えたり、色を塗ったり、素材を組み合わせたりして再生されたリサイクルアートを展示するという点がユニークでした。

リサイクルアートに込められた想い

この「リサイクルアート」の魅力について、舞台やイベントの制作や演出を得意としている川上真さん(パフォーマンスアート集団HI×TO所属)にお話を伺いました。

「舞台が終わると廃棄処分されてしまう素材がもったいないなぁと気になっていました。廃材を再利用できたらいいなと思っていたところ、今回のイベントの演出を依頼されました。そこで使わなくなったもの、不要なものを再利用し、何かに生まれ変わらせたいと思いました。」と教えてくれました。

このような川上さんのリサイクルアートのコンセプトは、参加した各団体にしっかり共有されていました。会場内の美術館エリア、変身エリア、縁日エリア、3つのどのエリアにもリサイクルアート精神がうまく反映されていて、全体的に統一感のある空間だなと感じました。それに、廃材&アート&おばけって何だか相性が良さそう。

ちょうちょ&ちょうちん スチールスタンドは飛沫防止用スタンド
「アミ子」がちょうちょに変身 会場の様子を見守っているよう

黒色のスチールスタンドはコロナ禍の際の合唱時に飛沫防止用に使用されていたモノ。

ちょうちょは過去のフライヤー(チラシ)を切ったり色を付けたりして加工したモノ。

特にちょうちょが会場のあちこちを飛びまわったり、止まったりしていて、そこに照明が当てられ影ができ(光のアート)幻想的な雰囲気でした。リサイクルアートって美しいです。

日の目を見ることのなかった不用品にいろいろアイデアを足してみると、新たな価値が加わり魅力的なアートができるのですね。
リサイクルアートのおばけやしきは本当に素敵でした。

舞台裏に潜入! 西宮の魅力が詰まった「大人の文化祭」

アートパネルを作成する子供たち
仕上げ作業をしている様子

市民会館が誰でも使える”アトリエ”に大変身

今回のイベントは準備段階においておおきな仕掛けがありました。それは「市民会館がいつでも使える”アトリエ”として解放されている」ということでした。アトリエでは着々とおばけやしきの本番に向けて準備制作が行われていました。

ここからはおばけやしきの舞台裏! の様子をお伝えします。

筆者が舞台裏に潜入した日、市民会館大会議室の”アトリエ”には、福祉事業所輝き工房のアーティスト、こどもの居場所たねとしずくの子供、武庫川女子大学経営学部の学生の3団体が集まっていました。

床の上には白い養生シートが敷いてありました。白い長方形の木製パネル2枚、忘れ物のビニール傘、そしてカラフルな発色のアクリル絵の具が用意されています。

リサイクルパネルに絵の具で色を塗っていく子供たち

木製の大きなパネルは以前は立て看板として使用されていた廃材です。意気揚々と筆で自由に色を重ねていくのは福祉事業所輝き工房のアーティストたち。普段から描き慣れておられるのか、大胆にのびのびと表現されていました。

その様子を横目に、居場所たねとしずくの子供たちも負けじと白いキャンバスに色とりどりの線やイラストを描いていきました。みなさんとても楽しそうでキラキラしていました。

完成した作品。赤鬼青鬼?それともこいのぼり?

仕上げに絵の先生が目玉を添付します。すると不思議なことに絵に命が吹き込まれたかのように素晴らしいアートが完成したのです。始まる前は見通しが立たないのでどうなるのかな?と不透明な気持ちもあったと思いますが、完成作品が予想以上に良いものになってみなさん大きな満足感を得て笑顔になっていました。

このように福祉事業所の大人、小中学生、大学生と、普段は接することのない人たちが”アトリエ”に集まり、協力しながらアート作品を一緒に制作することで、相手に興味を持つきっかけになったり、コミュニケーションが自然と生まれていました。

輝き工房の利用者は「小中学生は若くてパワーがある。一緒に出来て楽しかった。」と話してくれました。武庫川女子大学経営学部の学生は「こういう機会はなかなかなく、みなさん元気でエネルギッシュ。楽しかったです。」と話していました。

このように”アトリエ”では、アート制作を通じて「新たな交流やつながり」があちらこちらで生まれたと聞いています。

”文化祭”で生まれた新たなつながり

西宮市文化振興財団の事業担当田中さんにお話を伺いました。

「西宮には魅力的な活動をしているアーティストや団体がたくさんあります。普段は別々に活動しているわけですが、今回の企画がみなさんのつながる場やつながるきっかけになったらいいなと思い企画を進めてきました。」と話されています。
実際に「本番や作業過程で、新たな”つながり”コミュニティが生まれたのがとても嬉しかったです。」とおっしゃっています。

子供のためのイベントという建前がありながら、実は大人が舞台裏でつながったり、めちゃくちゃ楽しんでいたそうです。田中さんのおっしゃるこれは大人の”文化祭”のようなものだという意味がわかりました。

以上「アートなおばけやしき」の舞台裏についてお届けしました。

おわりに

最後に、参加団体の感想を少しご紹介したいと思います。

  • 「プロのアーティストの仕事ぶりはすごいなぁ、自分たちも良い刺激になりました。」
  • 「来場者に楽しんでもらうにはどうしたらよいか知恵を絞りました。」
  • 「新たなつながりができて嬉しかったです。」

それから、各エリアにボランティアスタッフが手伝いに来て、イベントを支えていたことを付け加えておきます。

これまでお伝えしたように多様なアーティスト、団体、人、モノというたくさんの要素をコーディネートし、そのうえで子供、大人、来場者みんなにとって楽しいイベントに創り上げた文化振興財団事業担当のみなさんにエールを送りたいと思います。

そして取材に笑顔で答えてくれた人たちにこの場を借りてお礼を述べたいと思います。

この記事を読んでくれた読者がおばけやしきイベントがどのようなものだったか、リアルに伝わる内容になっていれば幸いです。

執筆者:ちぃかぁ

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