西宮流(にしのみやスタイル)がスタートした時から、十日戎の日に一人赤門で手書きの「福男新報」配っている青年(平尾亮さん)が気になって取材させていただいたのが2009年だった。
それからは毎年10日の朝にお会いしていたが、最近は開門神事講社の代表としてあちこちにも出かけられている状況を知り改めてお話をお聞きした。
開門神事講社の代表となったきっかけ
平尾亮さんが福男選びに熱い思いを持ち続けるのは、1999年の十日戎の朝、あと一歩で一番福・・・と思われた時、拝殿に駆け上がる板坂で転んで3番福。
そしてその年の暮れ、彼はバイク事故を起こすが九死に一生を得た。
「えべっさんが守ってくれはった・・・」と彼は話す。
この話は、過去記事から➡︎
それまでも福男には並々ならぬ関心を持っていたが、この事故がきっかけで平尾さんの福男選びへの積極的な関わりが始まった。
神社の門の外で起こっている混乱をどうにかしたいと神社と相談しながら、2005年からは福男選びに参加するためのくじ引き制を導入したりしながら、福男選びが安全な神事であることを目指し続けてきた。
こうして2009年には、西宮神社公認団体となる「開門神事講社」が立ち上がり、平尾さんが代表を務めてきた。
開門神事講社の役割
正式に西宮神社の公認団体となる講社という組織となり、責任も重大になってきたが、平尾さんの心の中にあるのは「安全とえべっさんの福」。
お参りされるすべての皆さんに「安全な状況の中で福をいただいて欲しい!!」
だから平尾さんは「僕は、10日の朝、最後の方でゆっくり歩いて入場される方を見るのが好きなんです。」と言う。
2011年に東日本大震災が起こった。
「阪神淡路大震災を経験した者として、開門神事に携わっている者として何かできないか??」
翌年からは、被災地へのエールの象徴として参加者に黄色い手袋を配り始めた。
「手袋にしたのは、以前から考えていたんですが、転けた時の安全対策にもなると思ったんです。黄色は福男カラーです。」
同時に、チャリティグッズを販売して被災地への寄付も始めた。
こうして被災地との交流も始まっていく。
女川町で始まった福男選びならぬ「復幸男選び」に参加したり、女川町の復幸男の方に十日戎の開門のお手伝いをしていただいたり・・・。
全国にたくさんある「西宮神社」の中でも、福男選びをするところも出始めている。
安全面など、さまざまなノウハウも請われれば出向いていく。
2025年の福男選びの日には、能登の被災地の方にも来ていただく予定だとか。
決してレースやスポーツではない!「神事」だと強くこだわる平尾さんの思いが広がっていく。
「いろいろ呼ばれて出かけることもありますが、行くとそこにはいつもそこに居られる方々の『愛』を感じるんです!」
福男選びに参加される皆様へ
平尾さんに「福男選びに参加する方へのアドバイスは??」とお聞きした。
僕からは三つだけです!
①神事であることを心に刻んでください。
②とても危険がともなうことを理解してください。
③心からえべっさんの福をいただいてください。
昔は「少しでも早くえべっさんの福をいただきたい」と、早朝に家から走って参った「走り参り」がその起源だと言われている。
そうしているうちに参加者が多くなり、門の外で大勢の人が開門を待つようになっていった。
今年もきっと大勢の方が、福男選びに参加されることだろう。
コンクリートあり、石畳あり、最後は板の坂を駆け上がる。
くじ引きの運、並び順の運、コース取りの運、全てはえべっさんからの福につながる。
阪神淡路大震災から30年の節目の年の取り組み
今年も、平尾さんが一年に一度、最高に緊張すると言う開門の瞬間がもうすぐ訪れる。
そして今年は、阪神淡路大震災から30年の節目の年。
大きな被害を受けた西宮神社も立派に復興した。
たくさんの支援への「感謝」を形にし、今苦しんでいる地域への想いを届けようと、今年の開門時には能登の珠洲市の須受(すず)八幡宮の神職の小林さんに開門に関わっていただくことを提案したのも平尾さんだ。
また、昨年の11月に桐生市の西宮神社で行われた「福男選び」の福男/福女の方々も協力されるという。
これまで、被災地支援のためにグッズの販売もしてきたが、ストラップのデザインが今年から一新される。
ストラップの上部にある、一見ただの線に見えるところが「1.10」「1.17」「3.11」「1.1」の四つの日付が隠されていると言う。
今年も事故なく安全な開門神事/福男選びが行われ、一人でも多くの方にえべっさんの福が届きますように!!
西宮流がまとめた「福男選びに参加する方法」はこちらの記事から➡︎