えべっさん(西宮神社)の境内の「おかめ茶屋 泉」で「十日えびす」用の縁起物づくりが最後の追い込みを迎えていた。
縁起物を前に話してくださったおかめ茶屋の西原さん
「うちはえべっさんの境内で茶屋をさせてもらってもう4代目です。毎年、親戚みんなが力をあわせて縁起物を作ったり、売ったりしています。境内で吉兆を売るお店は20軒あるんですが、うちは清山という屋号で藤棚の横で二軒の店を出してます。」
西原さんは、おかめ茶屋の泉家に生まれた。「もう、子どもの頃からズーッと店番やら縁起物つくりやら・・・。昔は、こんな縁起物もコヨリで結んだんよ~。」と明るく話しながら手を動かしている。コヨリという言葉を久しぶりに聞いた気がした。
心を込めて作られた縁起物。それぞれに意味があり、買う人の願いが託される
「西宮神社の境内という、特別な場所で縁起物を作らせて頂いています。来ていただく皆さんに 福が届くようにと心を込めて一つ一つ作っていますよ。」作業中の皆さんが口を揃えた。
「週末と重なるし、この不況でしょ。きっと参拝客が多いと思うんですが、あんまり多すぎると人の流れで立ち止まれなくって、売れ行きが悪くなったりするし・・・。お馴染みのお客様にもご迷惑をおかけするしね。」と西原さんが心配する。
縁起物のえべっさんや大黒さんのお面は宝塚の西谷の方で作られている。それぞれの単品を蓑(み)やさらえ・笹などに次々に取り付けていく。
「福蓑」で福をすくい、「福さらえ」で福をさらうという意味があるらしい。笹に吉兆(枡・大福帳・ハゼ袋・俵・烏帽子・鯛・千両箱など)を付けて仕上げていく。
常連さんは、毎年同じものを買う人もあるし、年によって変える人もあるという。
「身に付く福は板に付く・・・・っていうてね、福蓑を買ったら、翌年は板面を買ったりする人もあるんよ~。」
池を見ながらほっと一服。祭りのないふだんにぜひ訪ねてほしい「おかめ茶屋」。夏のわらびもちもおすすめ。
西宮神社の境内で、こうして吉兆作りがされていたということを初めて知った。
お店の横には、甘酒用の酒樽がきれいに洗われてこちらも準備が整っていた。
「吉兆作りが一段落したら、今度は甘酒作りやね。。。」忙しい年末の一こまだった。
<以上 2008年の記事でした。写真の茶屋は改修前のもの>
2011年は本殿復興からちょうど50年の記念の年。神池の改修とあわせて「おかめ茶屋」も新しくなった。これまでの名物・甘酒に加えて「ちび鯛やき」「満足(みたらし)団子」など新メニューも見逃せない。