昔むかし、鳴尾は著名な歌人たちが歌にするほどの松の名所でした。
多くの歌人にも謳われ、この沖を通る船からも目を引いたと言われる鳴尾の黒松。
そんな黒松の中でもひときわ大きく、旅人から目印にされていたのが『鳴尾の一本松』でした。
しかしたくさんあった黒松もだんだん少なくなり、武庫川の河川敷に名残をとどめるのが現状でした。
そんな貴重な黒松が、治水工事で伐採されるという話を聞いた阪神南地域ビジョン委員会の『自然と共生するまちづくりグループ』と『緑豊かで安全な街づくりグループ』が、鳴尾の黒松の遺伝子を残したいと活動を始めたのが2012年。
メンバーの中におられた樹木医さんの尽力もあり河川敷にあった樹齢150年以上の黒松の種子を採取し、発芽させ、育成し、今では尼崎21世紀の森公園で2560株になりました。
今後、尼崎21世紀の森公園に植えられる予定ですが、2016年には尼崎の魚釣り公園にも150本が植樹されています。
また、某企業の工場敷地に200本を植える話も進んでいるといいます。
ご存知の通り鳴尾と西宮神社は、えべっさんを通して深い関係があるということから、今回、西宮神社に黒松の苗(発芽して4年目の苗)が2本献木されました。
黒松が美しかった白砂青松の鳴尾に上がられたえべっさんが祀られている西宮神社に、今度は鳴尾の黒松の遺伝子を持つ松の苗が戻ってきました。
この日は、ビジョン委員会の専門委員の小西巧治さんを始めビジョン委員のメンバーが顔を揃え、ふくみみ福ちゃんもお祝いに駆けつけました。