映画「阪急電車」は、電車の中で偶然出会う人たちの小さいけれど暖かい交流が描かれています。
その車内でのほとんどの撮影は、宝塚雲雀丘駅の近くにある平井車庫で夜に撮影されました。
平井車庫の片隅に電車をおいて、タラップで車内に入ります。
その止まっている電車の横に足場を組んで、そこにグリーンの幕を垂らしての撮影だったようです。木枯らしの吹く中でのグリーンバックの撮影は、風に煽られる幕をスタッフが下で必死に引っ張ったりと大変だったと聞いています。
便宜上「つながり」と呼ばれた乗客役のエキストラさんが、数日間ここに通われたようです。同じ電車の乗客が変わっては困りますものね。
三宅監督が台本を片手に俳優やエキストラに演技指導。細かい動きのチェックをしてから、テスト/本番と進みます。こうして車内の様子をグリーンバックで夜に撮影し、延べ36台のカメラで撮ったという車内からの風景映像と重ね合わせたそうです。
ただ、今津線では約2分で次の駅に到着してしまいます。中谷美紀演じる白いドレスの翔子と宮本信子演じる時江が車内で会話するシーンは、とても次の駅に到着するまでの時間では収まらず、車窓からの風景が何度も同じ所を繰り返していたのは仕方ない事ですよね。映画と本の違いですね。
映画の舞台挨拶の時に、有川浩さんが「平井車庫で撮影の時、スタッフの方が臨場感を出すために電車を押しておられたんです。思わず私もお手伝いして電車を押しました。重たかったです(笑)」とおっしゃってたのをお聞きしました。
映画で見た時はそこまで確認できなかったんですが。DVDで見たとき、誰も持っていないつり革がかすかに揺れていました。この臨場感を出すためだったんですね!!