船坂のまちなみの魅力の一つである茅葺き古民家に着目し『Bake&Restore パンを焼いて、茅葺屋根を直そう』という、なんとも興味ある古民家修復プロジェクトがこの一年かけて行われてきた。
現在、西宮の船坂には4軒の茅葺古民家があるが、一軒を除いては今は住む人がない。
しかし、そんな茅葺き屋根の建物を地元の宝物として残したいという動きがじわじわ広がってきている。
そんな中でもう限界にきている一軒の茅葺き屋根の応急処置をしたいと、クラウドファンディングで資金を集め、11月11日(日)には茅葺職人による二度目の作業が予定されている。
この日は、船坂里山学校で船坂マルシェ&ふれあい広場も開催されているので、その時に見学できるチャンス!!
今日はクラウドファンディングに協力した方々が船坂に集まった。
今年一年は『Bake&Restore パンを焼いて、茅葺屋根を直そう』というワークショップ形式で茅葺屋根の修復に取り組んできた。
プロジェクトの中心になる地元の方のお話も聞きながら、修復中の古民家のいろりを囲みランチをいただいた。
「茅葺古民家の修復というのは、単に屋根を直すということだけでなくそこでどう暮らすのかが問われるのだと思います。」と活動を見守る茅葺職人の塩澤さんのお話には考えさせらることも多かった。
この活動に参加し始めてから「自分の暮らす家が、実は古民家だったと知った。」という若い地元スタッフの話や、親の後を継いで住むようになった『西宮市都市景観形成建築物』に指定されている茅葺き屋根の家で、カフェの開店を目指して動き始めているというスタッフのお話なども聞きながら、ランチに舌鼓を打った。
この日のランチは「Bake&Restore パンを焼いて、茅葺屋根を直そう」プロジェクトのメンバーでもあった宝塚市にあるlichetteのパン職人・荻野さんの手によるランチボックス。
パンやスコーン、クッキーなどはもちろん船坂で今年採れた小麦。
昨年から続いてきた『ワークショップ』という形式には一旦ピリオドを打つというが、小麦を植えその小麦で小麦粉を作り、茎を茅葺き屋根の修理の材料にするという活動は、これからも継続させていくという。
茅とはいね科の植物チガヤ・ススキなどの総称・・・と辞書に書かれているが、茅葺き屋根の材料はその地方によって様々な材料が使われているという。
「要は、茅とは草屋根を葺くための材料のことを言うのです。昔からイネ科の植物だけではなかったんですね。」と塩澤さん。
『Bake&Restore パンを焼いて、茅葺屋根を直そう』という活動は、小麦を育て実を食べ、茎を屋根材にして葺き替え、古くなって使えなくなった茅は肥料として土に返し、また小麦を育てる・・・そう言う環境と暮らしの循環を取り戻すためのはじまりのはじまり。
小麦の収穫までには、寒い冬の日の麦踏みや麦秋を迎える5月の収穫など、人手が必要なことも多くなる。
茅葺屋根と循環型の暮らしを修復する、私たちのすぐ近くで行われているこんなささやかな実験にあなたも参加してみませんか??
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