文楽人形浄瑠璃は日本を代表する伝統芸能として2003年にユネスコの無形文化遺産となっていますが、人形浄瑠璃のルーツとも言われているのが西宮の傀儡師の「えびす廻し」あるいは「えびすかき」と呼ばれている人形廻しです。
傀儡師たちは西宮神社の北の産所町に住み、その活動は安土・桃山時代に最盛期を迎えていたようです。淡路や徳島では人形浄瑠璃に発展していきましたが、西宮では徐々に廃れていき、明治の終わりに吉田小六を最後に無くなったと言われています。
そんな歴史ある西宮には、2016年に亡くなられた人形浄瑠璃文楽の人形遣の人間国宝の吉田文雀さんがお住まいでしたし、能楽師・大倉流小鼓方の久田陽春子さんが居住しておられたり、観世流能楽師・シテ方の上田拓司さんが夙川能舞台・瓦照苑を主宰されていたりしています。
また、白鷹禄水苑では辰馬朱滿子さんが定期的に伝統文化の講座も開かれ、人形芝居えびす座は「えびすかき」伝承の活動も行なっています。
こんな西宮に新たに日本の伝統芸能を中心とした活動拠点として『平林会館・西宮能楽堂』が鳴尾駅の南側徒歩5分のところにオープンします。
12月10日は完成披露公演(非公開)があり、一般の方々へのお披露目は2018年1月7日となる予定です。
すでに申し込みがいっぱいということで、当初1回だった講演を3回に追加して対応されているとか・・・。
やはり注目度は高いようですね。
鳴尾・・・という地名は、能の「高砂」に登場する地名ということで、西宮市内であちこち土地を探されていた、この会館代表の梅若基徳さん(観世流シテ方。梅基会主宰。重要無形文化財総合指定保持者 )たちにとっては願ってもない場所での会館設立となったようです。
この西宮能楽堂は3階建てで、1階が稽古(けいこ)場と和室、2階が能楽堂となっていますが、能楽堂は伝統的な三間四方の舞台形式で造られていて客席は約120席。
能楽を中心にしながらも、日本の伝統芸能を幅広く公演する拠点となっていくようです。
冬休みを利用して全8回の「こども能楽教室」(受講料・無料)なども企画されています。これは「まちたび2438 Forファミリー」のプログラムにもなっていますので、こちらからお申し込みください➡
近々、市内で身近に楽しめる文楽イベント。
高砂(たかさご)〔舞囃子〕
高砂やこの浦舟に帆をあげて。この浦舟に帆をあげて。
月もろともにいでしおの。浪の淡路の嶋かげや。
遠く鳴尾の沖すぎて、早や住の江につきにけり。早や住の江につきにけり。