パセオサインを辿って歩くと16ページの詩集に出会うアートな街@西宮浜マリナパークシティ

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西宮浜 アート 本のモニュメント

西宮浜のマリナパークシティが誕生したのは、阪神淡路大震災がきっかけとなった。
リゾート地構想で埋立てられていた西宮浜は、急遽住宅地開発を目指して兵庫県、西宮市、住宅・都市整備公団、兵庫県住宅供給公社、西宮マリナパークシティ開発(株)・積水ハウス(株)が公民一体となって開発した。

その開発は景観とアートを中心にして計画され、街全体がミュージアムと言っていいほどたくさんのアートがあり、最近では定期的にアート巡りのイベントなども開催されている。

この日は、アート作品の設置の中心となっておられた福嶋敬恭(のりやす)さんが考えられた、アートで街をつなぐ仕掛けの「詩」を読みながら、西宮浜のマリナパークシティを歩いてみた。

西宮浜のアートマップ(本のモニュメントは② ④ ⑯ ⑱ ⑳ ㉑ ㉒ ㉓)

パセオサインがアートをつなぐ手がかり

パセオ (paseo) とは、散歩、あるいは、遊歩道を意味するスペイン語。小径(パセオ )に埋め込まれたサインがアートをつないでくれるという仕掛けがある。

マリナパークシティは、丘のある街/桜のまち/杜のまち/海のまち/浜辺のまちからなっているが、それぞれの街に住む人たちをアートで繋ぎたいと考えた福嶋敬恭さんは、住宅の間の小径(パセオ)を結ぶために詩が書かれたモニュメントを点在させて設置した。
その詩のモニュメントを探す手がかりが、小径に埋め込まれたパセオサイン。
改めてパセオサインを辿って、8個のモニュメントの16ページの詩を読んでみた。

西宮浜 アート 
道路に埋め込まれたサイン

「泉」1・2ページ@丘のある街の南側

丘のある街のアキニレが植栽されたアートストリートに面した所に設置されているのが最初の詩。
ここから16ページの詩が始まる。

青色(そらいろ)のふるさとは どこ?
わたしの空
わたしの海

清い流れのふるさとは どこ?
わたしの心
わたしの 宙(そら)
わきいづる泉は わたしの心

丘のあるまちの南側。ここからスタート!
マリーナパークシティマリーナパークシティ アート

「泉」3・4ページ@丘のある街の西側

丘のある街の西側に、続きの3・4ページがある。

水、
遠い未来からの贈りもの
すべてが始まる
ここから始まる
わたしの泉

水はわたし
虫はわたし
鳥はわたし
わたしは 自然
わたしは 宇宙

マリーナパークシティ アート

「種子はわたし」5・6ページ@桜のまち

丘のある街の西側から、南北の通りを挟んで桜のまちへと入っていく。
その入り口にあるのが、5・6ページの「種子はわたし」

「種子はわたし」 
この一粒の種子
小鳥からのおくりもの
はるかな 未来の
心のうちの おくりもの

小鳥たちの ふるさとは
春の光の ふるさとは
夏の涼風(かぜ)の ふるさとは
秋の色の ふるさとは
ふるさとは わたしの心

マリーナパークシティ アート

「種子はわたし」7・8ページ@桜のまち

桜のまちの小道を抜けてその西側、春には桜のトンネルになるところに4つ目のモニュメントがある。
ここまできて気がついたのは、本の厚みがきちんと変わってきていること。
8ページまで読み進んできた^_−☆

「種子はわたし」  
青い空のふるさとは
どこだろう?

ふるさとは ここ
わたしの中の一粒の種子
種子は わたし

マリーナパークシティマリーナパークシティ アート

「いのちのもり」9・10ページ@杜のまち

杜のまちの、5つ目の詩は少し探した。
植え込みの中に紛れるようにあった「詩」を読んで、それぞれの題名がそのまちの名前とリンクするように変わってきていることに気づいた。

「いのちのもり」 
貝の歌声
木のいのち
風の子供
風の子おんぶ
ふるさと松風 光る海
大波、小波、海の色
土の妖精、土の詩(うた)
すべていのちのファンタジー
すべては 生のシンフォニー

わたしはいのち
すいれん 池の水の精
みづすましは わたし
わたしは 陽光(ひかり)
小鳥はわたし
わたしは自然
すべていのちの ファンタジー
すべては生の シンフォニー

季節によっては、植え込みに隠れているかもしれないので注意
マリーナパークシティマリーナパークシティ アート

「貝のささやき」11 ・12ページ@海のまち

海のまちに入った詩は「貝のささやき」になった。
これまでのものより低いので、ここも見過ごしそうになる。
この辺りになると「パセオサイン」がとても少なくなり、これまでの動線から検討をつけて探すことになる。

「貝のささやき」  
わたしは 涙
アンドロメダの海の中
夜空の中の天の川
星のささやき
貝のおしゃべり

潮騒はアリア
風は光る音色
わたしは 宇宙
わたしも 宇宙
わたしの涙

マリーナパークシティ アート
6つ目の本のモニュメント

モニュメントの横にある階段を上がり、そのまま広場を横切って北側の階段を降りると、次の7つ目に出会える。

「私はここ」13 ・14ページ@浜辺のまち

海の街から北側へ階段を降りたところに、7つ目のモニュメントがあった。

「私はここ」
この甘い香りは なに?
土、 土の心この土のあたたかさ

私のどこかで憶えている
心のどこかが知っている私はここ
私はあなたの心

マリーナパークシティ アート

「私はここ」15 ・16ページ@浜辺のまち

パセオサインに頼れなくなっていたので、私が辿ったのは7つ目(13・14ページ)のところからは、真っ直ぐ東に抜けてみた。
「マリナパーク西」バス停を通り過ぎて最初の角を北に行って探してみた。
浜辺のまちの東側の出入り口付近に最後のページを見つけた。

「私はここ」 
私の心は風の中私の心は音の中
私は風の旅人
私はここ

私はあなたの心
大地をこわすな
私は赤い血しお私は潮風(かぜ)
私は大地

パセオを歩いていると、その街によって雰囲気が違うことに気づく。
公園や小径沿いの植栽も特徴があって楽しめる。

マリーナパークシティ アート
最後の詩(16ページ)
最後の「詩」は、こんなモニュメントの近く

西宮浜はまち全体がミュージアム

バブル崩壊や平成7年の阪神大震災などがあって、レジャーランド構想から住宅を中心としたまちづくりへと大きく計画が変更され、平成10年(1998年)3月に街びらきしたマリナパークシティ。

今回歩いてみた本のモニュメントだけでなく、いろんなところにたくさんのアートが置かれている。
そんな街中アートについては、下記の記事もご参考に!!

投稿日時 : 2023-05-08 10:32:54

更新日時 : 2023-05-08 17:02:14

この記事の著者

編集部|J

『西宮流(にしのみやスタイル)』の立ち上げ時からのスタッフ。
日々、様々な記事を書きながら西宮のヒト・モノ・コトを繋ぎます。

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