被災地をつなぐ「さをり織り」甲東ホールで作品展示中

さをり織り

今年も1月17日がやってきました。市内各所でも追悼の催しが開かれ、それぞれが28年前のあの日あの時に思いを馳せた1日でした。
甲東ホールで、災害復興をテーマとしたプロジェクトの作品展示が1月17日から始まると聞いて行ってきました。

4000人が紡いだ、総延長約500mの色鮮やかな布

「被災地をつなぐさをり織り」のプロジェクトは東日本大震災1000日目の2013年12月に、岩手県、宮城県、福島県の3県で始まりました。
2015年1月17日阪神淡路大震災20年目の日には、神戸市内で311メートルを突破。その後も制作を続け、21都道府県と国外4か国100か所以上で開催されたワークショップを通じて4000人を超える人が参加して織り上げた布は総延長500メートル!

被災地をつなぐさをり織り in 甲東園

参加者一人一人がそれぞれ好きな色の糸で、時には裂いた布やリボンで、好きなだけ織り、お年寄りも小さな子も、初心者も熟練者も入り混じり、下絵などもないのに、出来上がった布はどれも見事な配色で、織り目が不揃いだったり、端がいびつになっているのも味わいがあり、まぎれもなくアート作品!!

美しい色とりどりの布には参加者たちの写真やメッセージがつけられており、それもアートの一部として輝いています。

パネル展示もしっかり読みたい

香港からの凱旋展示

2022 年 9 月 1 日から 10 月 9 日まで、賽馬會創意藝術中心 Jockey
Club Creative Arts Centre (JCCAC) で開催された「アートとインクルージョンと多様性の祭典 in 香港(多元共融國際藝術節(IFAID)◉ 香港)」。 多くの人が集まり、感動の輪が広がったこのイベントの展示手法を取り入れて、12月には和歌山県広川町「稲むらの火の館」で展示とワークショップが開かれました。

それに続いての凱旋展示が、今回、西宮で開催されることとなりました。

香港で開かれた「アートとインクルージョンと多様性の祭典 in 香港(多元共融國際藝術節(IFAID)◉ 香港)」

西宮の団体「ツナミクラフト」が主催

「被災地をつなぐさをり織り」プロジェクトを主催しているのは、被災地支援団体「ツナミクラフト」。西宮市にある団体です。

「この企画は災害から人々がどのように復活したのかの経験を伝えるものです。災害を直接体験された方やご遺族、被災地域の自治体関係者だけでなく、すべての人が参加しやすいものを目指しています」と語る代表の東山高志さんは西宮在住。「1月17日に西宮で開催したかった」という東山さん。引き寄せるようなタイミングで甲東ホールでの展示が実現しました。

このエリアの被災状況を知っている筆者にとっても、この会場で、この日に開催されることの意味は大きく、寄せる波のように展示された布と参加者の写真を前にして、思わず目頭が熱くなりました。

一人でも多くの方に見て欲しい作品展です。

はた織り体験コーナーで共同制作

会場には2台の織り機が置かれていて、希望すれば機(はた)織りを体験させてもらえます。(会場の混み具合によってはできないこともあるかもしれません)

香港会場でも展示されたさをり織り機

私も初挑戦。不器用で鈍臭い私ですが、親切な手ほどきと褒め上手に乗せられて楽しく織れました。気がつけばあっという間に10センチ近くも進んでいました。無心に織ることって楽しい!

さをり織りが被災地で多くの人の心を癒してきたということが身をもって実感できました。

体験を終えたら、織っているところの記念写真をいただきました。台紙に付けられたQRコードで、これから先、自分の織った布がどこで展示されているかがわかる仕組み。未来につながっています。

台紙にはこう書かれていました。
「被災した人たちにとって、災害から何年経とうとつらかった思いが消えるわけではありません。今日あなたが織った布のたて糸は、被災地で用意されました。あなたがよこ糸を通すことで被災地とあなたが交差したことになります。1枚の布になることで、未来を重ねていきましょう!」

自由で失敗がない「さをり織り」

さをり織りは今から約50年前、堺市の主婦、城みさをさんが考案しました。枠にとらわれず自由に織るのが特徴で、従来なら「傷」「不良品」とみなされたミスも、さをり織りでは「模様」と捉え、それも味わいと評したそうです。つまり、さをり織りには失敗がない。

さをり織り

見本や手本がなく、教えることもしない。自由に織れるさをり織りは養護学校に導入され、知的障害のある人の自己表現ツールとなり、城みさをさんの「教えないで引き出す教育 Non quality control」は海外でも注目されました。

また、さをり織りは何でも織り込めます。捨ててしまうような小さな端切れや古着を裂いたもの、残った糸も繋いで織ることができます。今流行りのSDG’sという言葉が現れるずっと前からさをり織りは、地球に優しい取り組みを当たり前のように行なっていたのですね。

さをり織りは阪神淡路大震災の後、仮設住宅などで被災者の心のケアとして注目されました。また、その芸術性に注目して取り入れたのは「具体」の作家たちだったとか。阪神間に縁があるんですね。

【開催情報】1月17日(火)〜22日(日)

【場所】
 甲東ホール展示室(アプリ甲東4階)

【日時】
 1月17日(火)〜19日(木) 10時〜19時
 1月20日(金)・21日(土) 10時〜20時
 1月22日(日) 10時〜16時

写真提供:ツナミクラフト

投稿日時 : 2023-01-18 02:46:38

更新日時 : 2023-01-18 02:46:39

この記事の著者

編集部|Aqui

西宮流の名付け親
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