この記事は「Wow!」のメンバーが執筆・編集しています。タウン情報誌「あなたのまち にしのみや」に書き切れなかった取材のこぼれ話をメインにタウン情報誌完成までの制作秘話をお届けします。
今回は、民族楽器の達人 ロビン・ロイドさんのご自宅にお邪魔しました。
紙面には収めきれない、たくさんのエピソードを惜しみなく話してくださったロビンさん。ここではその一部を紹介したいと思います。
まず、「ロビンさんって何者?」という疑問。ありますよね。
ロビンさんは様々な活動をされており、それらを短い肩書きで表すことは難しいのですが、
「民族楽器を使った音楽を中心に、人とつながり、癒し、楽しむ」
そんな生活をされている方… と言えるかもしれません。
演奏家としてライブやワークショップを行う一方、高齢者や障がい者のための音楽療法をライフワークとされています。
その中で感じた言葉を収めた本を出版されていたり、障がいを持つ方のアート(絵)とコラボしたCDを作られていたりもします。
学び、奏で、教え、旅する……。
うーん… 自由ですね。
そして、そのすべての活動は、ロビンさんの中では枠が無く、すべて同じ「音を楽しむ」ことのように見えます。
そもそも筆者がロビンさんの存在を知ったのは、【第26回 西宮国際交流デー】でのライブパフォーマンス。【フレンテ西宮】内にある西宮市国際交流協会が主催しているイベントでした。
自然の映像を背景に、様々な楽器で即興演奏されるロビンさんの音楽は、心が自然に還り、深く呼吸させてくれるような、癒しの音でした。
「あのカリンバという楽器、とても良い音だったな~」と思いながら会場を出ると、ロビンさんのワークショップのチラシが配られていました。早速、申し込む筆者。そして二か月後に行われたワークショップ。場所は同じく【フレンテ西宮】内の一室でした。
ロビンさんは様々なカリンバを用意して下さっていて、実物を手に取って鳴らしてみることができました。
気軽で楽しいカリンバと、ロビンさんの気さくなお人柄に触れ、その自由で懐の広い音楽世界に感動した筆者。しっかりMYカリンバをGetして帰ったのでした…。
ちなみに現在、カリンバは西洋の音階に改良(?)され、工場で大量生産されたものが沢山流通していますが、ロビンさんが紹介されているカリンバはそれとは異なり、タンザニア等のアフリカ地域で現地の方が一つ一つ手作りされているもの。
音階はそれぞれ異なり、西洋の音階のような不協和音が無いため、即興で気軽に弾いても、心地よい音楽になります。
実際に現地の人々は、畑仕事の合間や一日の終わりなどに、楽しい気分の時は楽しく、悲しいときは悲しく、疲れた時は疲れた気持ちをそのまま演奏するそうです。
誰に聞かせるわけでもなく、「正しい」も「間違い」もなく、独り言のようにただ自分の思うままにポロンポロンとつま弾く…。
なんだか、この時間、いいなあ~…。と、しみじみ思える楽器です。
前置きが長くなりましたが、今回、ご自宅で取材をさせていただけるとのことで、ワクワクしながら当日を迎えました。
通していただいたお部屋には、棚を埋めつくす、見慣れない楽器の数々…。
中には、人の姿が象られた、あやしげなものも…。これらのデザインは単なる装飾ではなく、安産祈願、病払いなど、それぞれに意味があるとのこと。
手作りの梅ジュース(!)をいただきながら、お話を伺いました。
まず今号の企画テーマが「芸術」であることを告げると、
「私の音楽は芸術ではないです」と言うロビンさん。まさかの、企画テーマとの不一致…。ここで取材終了か?
と一瞬焦りましたが、そうではなく、ロビンさんの言葉の真意は次のようなものでした。
”芸術家がステージに上がり、観客が下から見上げる… 「芸術」というとそのような上下関係になりがち。しかしロビンさんのスタンスは、「コミュニティの中の一つの役割」としての音楽家。聴く人、踊る人、料理をする人、話す人、そんな輪の中にある音楽。そしてそこから拡がっていく関係を大切にしたい。…”
なるほど…。
ロビンさんの、傲岸さの一切ない、むしろ日本人の誰よりも謙虚なのではないか…というくらい丁寧な姿勢からも、このお話には深く納得させられました。
その後、記事のためにお話をあれこれ伺った後、その場にある楽器をお借りして、みんなでセッションをすることに。
何の知識も練習も心の準備もないまま、いきなりセッション。それがロビン流。
筆者もなんとなくのリズムでコンガを叩いたり、カリンバを弾いたり、ツボのような謎の楽器をポワンポワンと鳴らしてみたりしました。
初めて見る楽器も多く、セッションが終わってもそれぞれに気になる楽器を触り続けるスタッフ達の無邪気な姿を見て「こういう時間が楽しい」と微笑むロビンさん。
シンギングボウル(仏壇にあるおりんに似た楽器)は「音を出すのが難しい」と言われましたが、手先が器用なスタッフ・Mr.坊主氏はすぐに習得。日常生活では耳にしない謎の周波数を奏で、聴いていると意識が宇宙へ飛んでゆくようでした。瞑想に良さそうです。
童心に帰って遊んだ、楽しい時間でした。
最後に、ロビンさんに今後の予定を伺いました。
12月に詩集を出版され、その記念イベントで全国を回られるとのこと。
そこで、「言葉と音楽」の新しい試みとして、「朗読と演奏」の共演を企画されています。関西では来年はじめ頃の予定。
また、西宮市でも積極的にイベントを行いたいとのことです。
50か国以上を回られた今でもなお「まだまだ知らないことと出会う」と言うロビンさん。
旅は、まだまだ続くようです…。
ロビンさんのことをさらに詳しく知りたい方はこちらから!