街の中で歴史のレイヤーを見つけた!中津浜線のJR跨線橋から見た風景・・・

甲子園口6丁目北公園

街はどんどん変わっていく。
そんな変わっていく街の風景にも、昔の面影を見つけることができたりもする。

中津浜線の西側、名神高速道路までの間が今は広い空き地になっている。
以前はアサヒビールの配送場や森永乳業近畿工場、ニッカウヰスキー西宮工場などがあったが、今はそれらの工場が移転しこのエリアも大きく風景が変わろうとしている。

今しか見れない空き地の風景から、ちょっとタイムスリップしてみた。

中津浜線のJR跨線橋

西宮市内を東西に走るJRは堤の上に線路があり、南北の道路はそのJRの線路の下をくぐったり、跨線橋で上を跨いだりしている。

中津浜線 跨線橋
中津浜線 JR跨線橋 (北側から)

JRの線路を跨ぐための人が歩くためだけの小さなトンネルは、昔から『まんぼう』と呼ばれ今も地域住民の便利な通路となっている。
もちろん、まんぼうだけでなく新しく作られた隧道もある。
マンボウについてはこちらの記事から➡︎

中津浜線は宝塚市との境(仁川)から浜甲子園までの南北の道路で、昔は『中津浜』という浜があった。
また、そこで上がった鰯を『宮じゃこ』として釜茹でしたり天日干しをしていたという。

現在、中津浜という地名は残っていないが、かつての地名『中津砂浜新田』の中の砂浜に由来する砂浜神社は鳴尾八幡神社に合祀されている。
また昔の申川のほとりにある「砂浜公園」や「中津墓地」も、かつての地名を探る一つになっている。

時間が過ぎてしまった時に、昔を振り返るきっかけの一つは地名。
西宮市はたくさんの町名が残されていて、これも一つの町の特徴だと思うが、それでも完全に消えてしまっている地名も多くある。

かつての『中津砂浜新田』の名残の砂浜公園
昔の申川のほと理あたりに位置している。
中津の文字が残る夏墓地

甲子園口SL公園

中津浜線のJR跨線橋の南東側に「甲子園口SL公園」がある。
SL機関車があるわけではないが、蒸気機関車に給水していた時に使われていた給水塔がモニュメントとしてこの公園に残されている。

蒸気機関車への給水塔がモニュメントとして置かれている「甲子園口SL公園」
給水塔の説明版

第二次世界大戦末期(昭和19年)に、物資輸送のためにJR(当時の国鉄)西宮駅(当時は西ノ宮駅)から甲子園口駅を経由し阪神武庫川線へと乗り入れ、今の武庫川団地あたりにあった工場の物資輸送を担った。

この「甲子園口SL公園」は阪神が所有していた土地で、当時の乗り入れのための貨物線があったところ。
公園の地形は、今のJRに沿って細長い。
ここから甲子園口方面へと続いていたのだろう。

跨線橋から見た「甲子園口SL公園」(手前の屋根の向こうに見える大きな木々のあるところ)
線路に沿った細長い公園の敷地は、元は阪神電車の所有地だった

阪神武庫川線と国鉄(現JR)の貨物線の歴史

武庫川線は1943年(昭和18年)に武庫川 – 洲先間が開通し、1944年(昭和19年)に武庫大橋 – 武庫川間が開業している。
しかし空襲を受け、大きな被害を受けて終戦を迎えた。

終戦後は、進駐軍の要請で物流路線として利用されていたようだ。
JR西ノ宮駅からの国鉄の貨物列車が乗り入れることから、武庫大橋から南の部分は三線軌条になっていた。
1950年代にはその運行も停止され、1958年(昭和33年)に正式に廃線となっている。

結局、阪神が武庫大橋より北へ路線を延ばすことはなかったが、用地などは確保され甲子園口駅に阪神の駅を作ることも申請されていたという。

今回の中津浜線の跨線橋から見える風景もそうだが、甲子園口駅から武庫川の堤に沿うようにあったかつての線路跡は、今も、細長い住宅地や空き地に偲ぶことができる。

桜 桜づつみ回廊
甲子園口駅の南側にある「ふるさと桜づつみ回廊」もかつての線路跡地

国鉄(現JR)の貨物が、阪神武庫川線に乗り入れていた面影の景色

中津浜線のJR跨線橋から西側の風景
(名神高速道路までの間が、広大な空き地になっている)

JRの跨線橋から西側、西宮駅方面の名神高速道路までは現在広大な空き地が広がっている。

ここはアサヒビールの配送場があったり、ニッカウイスキーの西宮工場、森永乳業などがあった場所。
跨線橋から見ると、足元の甲子園口六丁目北公園と同じ幅で、用地が続いていたのだろう思える風景が見えている。
この幅にもう一本の線路が敷かれ、貨物の蒸気機関車が走っていたのだろう。
そして、その列車のための給水塔があった。

建物がなくなって見えてきた景色・・・・
歴史のレイヤー探しも面白い!!

投稿日時 : 2025-12-24 08:35:00

更新日時 : 2025-12-23 13:07:06

この記事の著者

編集部|J

『西宮流(にしのみやスタイル)』の立ち上げ時からのスタッフ。
日々、様々な記事を書きながら西宮のヒト・モノ・コトを繋ぎます。

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