テレビ番組の改編期で新しい番組がたくさんスタートしているが、4月からのNHKの土曜ドラマが話題になっている。
数々の社会派ドラマを生み出してきたNHK土曜ドラマ。2025年4月5日から放送されるのは「地震のあとで」。「阪神・淡路大震災 あれから30年」と副題がつけられている。あの地震のあとを描く4つの物語で構成されている。
堤真一さんも出演
第2話「アイロンのある風景」には西宮出身の名優、堤真一さんも出演。震災前まで東灘区に住んでいた男を演じる。
公式サイトには次のようなコメントが紹介されている。
僕は西宮出身なのですが、阪神・淡路大震災の当時は東京にいて、遠くから被災する故郷を眺めるという経験をしています。幸い実家は大きな被害はなかったのですが、亡くなられた人、また大切な人を失ってしまった方々のことを考えると、家族ができた今だからか、以前よりも一層、とてつもないことだっただろう、と怖さを感じています。僕は実際に焚き火が大好きなんですが、今回、被災し家族を失ってしまった心の傷を抱えつつ、それでも少しでも前に進みたいという気持ちを焚き火の炎に託して演じました。
「地震のあとで」公式サイト
制作統括の山本晃久さんも西宮市出身。『ドライブ・マイ・カー』で、日本人映画プロデューサーとして初のアカデミー作品賞にノミネートされている。30年前は中学2年生で、西宮であの揺れを経験している。
(参考記事:クランクイン 日経クロストレンド)
演出は『あまちゃん』や『いだてん』『ハゲタカ』などを手がけた井上剛さん。西宮出身の脚本家渡辺あやさんの『その街のこども』や西宮出身の俳優、松尾諭さん原作の『拾われた男』も手がけている。
原作は村上春樹さん。被災した故郷を歩いた紀行文も併せて読もう
ドラマの中に西宮が登場するわけではないが、大いに期待が高まる。さらに注目したいのは、村上春樹さんの短編集『神の子どもたちはみな踊る』が原作であること。
村上さんご自身は直接震災に遭ったわけではないが、エッセイ集「辺境・近境」で1997年に西宮から神戸の三宮までを2日間に渡って歩いて巡った際の紀行文を書いている。
阪神西宮駅で降りて、そこを出発点として西に向かってゆっくりと歩き始める。(中略)まず南口にある商店街を抜ける。小学生の頃、自転車に乗ってよくここまで買い物に来た。
『辺境・近境』 1998年4月 新潮社
”僕にとってはずいぶん懐かしい場所だ”という商店街を抜けて訪れた西宮神社では、地震の爪痕を目の当たりにしてこう描いている。
阪神国道に沿って並んでいる巨大な常夜灯の大部分は、肩口から上の灯籠の部分が失われている。それらは鋭い刃物ではねられた首のように、足下の地面に不揃いに転がっている。残された土台は意識と方向を失った石像となって、夢の中に現れる象徴的なイメージのように、もの言わず重々しくそこに建ち並んでいる。
『辺境・近境』 1998年4月 新潮社
ドラマの演出を手がけた井上剛さんはこの「辺境・近境」に収められた「神戸まで歩く」を参考にしたという。
(参考記事:RealSound)
「辺境・近境」については、「西宮文学回廊」でも紹介しています。

全4話 放送は4月5日22時スタート
NHK土曜ドラマ「地震のあとで」
第1話『UFOが釧路に降りる』
4月5日(土) 午後10:00〜午後10:45
第2話『アイロンのある風景』
4月12日(土) 午後10:00〜午後10:45
第3話『神の子どもたちはみな踊る』
第4話『続・かえるくん、東京を救う』