西宮市立西宮高等学校のサッカー部が強豪の私立高校を退けて兵庫県代表になり、全国大会に出場する。
ベスト8に入り母校に凱旋したチームの様子は、こちらの取材記事をお読みください。 →
私たちが普段「いちにし(市西)」と呼んでいる学校の歴史は、大正9年に設置された西宮町立西宮高等女学校から始まる。90余年の歴史をもつ伝統校で、サッカー部の歴史も62年。
今、西宮市役所の正面玄関には、大きい垂れ幕がおめでとうの気持ちを表している。その市役所に藤岡和代校長、大路照彦監督など学校関係者の方々以下27人のサッカー部員が全国大会出場の報告に訪れた。
藤岡校長のお話では、県大会の優勝を決めたあと、卒業生はもちろん、地域の人たちからもたくさんの「おめでとう!」の言葉が寄せられたという。「大きな事を成し遂げてくれた生徒達を誇らしく思います。」 と藤岡校長。
3年生でディフェンダーの帷智行主将も、報告会の会場で「次は、本当に大きな舞台だけれど、これまで日々培って来た力を発揮し、最後まであきらめないで一人でも多くの人に感動と勇気を感じて頂けるように頑張りたいと思います。初戦が強豪なので後一ヶ月準備して望みたいです。」と力強く挨拶。堂々と平常心で話す姿を見て、きっと最後まであきらめずに自分の持てる力を出してくれるだろうと思った。
西宮市からは「栄光を讃える」とプリントされたタオルやまちたび博のキャラクターみやたんのバッジなどが送られた。
後日、試験中にもかかわらず全国大会に向けて練習に励んでいるところにお邪魔し、大路監督とお話させていただいた。ご自身もサッカー少年で、一生サッカーに関わりたい・・・との思いで教職の道を選ばれ、サッカー指導一筋で来られた大路監督。「小さい頃は野球もやったんですよ。でも僕は、常に緊張感の中で試合をするサッカーの方が性にあったんですね。いつも生徒達にも話していますが、サッカーは一瞬一瞬の判断がとても大切で、それは監督が決めるんじゃなくて自分自身が決めるもの!だから、サッカーをやっていたという事が将来社会に出ても必ず役に立つから・・・と。」本当にサッカーが好きなんだな・・・と何か熱い物が伝わってくるお話に、寒風吹き抜ける西宮浜のグラウンドである事も忘れてついつい長話になった。
普通の公立高校だからごく当たり前で、放課後のグラウンドは複数のクラブが使う。4時ごろに授業が終った後に練習が始まるが、冬場はあっという間に日が暮れてしまう。目下の願いは、照明灯が欲しい事らしい。「実は、今年の3月に卒業した学年から照明灯4基を贈っていただきました。それほど明るくはないのですが、それでも僕たちにとっては本当にうれしい贈り物でした。」
長期の合宿もできない、遠方へ練習試合にも行けない。そんな普通の公立高校である悩みも抱えながらそれでも、大路監督には長期構想があったという。「実は、10年程前にこのままではあかんな〜と思ったんです。このままだと良くてベスト8が精一杯だろうと。何が足りないのか??と思ったとき まず『市西に行きたい!!と思ってもらえるような学校にせなあかん・・・』と考えたんです。」魅力ある学校にするために動き始めた先生は、その後だんだんいい巡り会いができて来たと振り返る。英語の教師である大路監督は「勉強は厳しいですよ!!」と笑う。指導の極意を聞いてみた。「英語は反復とリズムですね!!」でも、サッカーの指導のお話を聞いていると、その極意はクラブにも通じているような 気がした。
今年、女子バスケット部 がインターハイに出場し、今回サッカー部が全国大会に行き、グローバルサイエンス科の生徒が今年から開かれる「科学の甲子園」への出場も決めている。まさに文武両道の学校!!
その日、西宮浜のグラウンドに来ていた二年生の女子マネジャーに聞いてみた。「試合中は本当にハラハラします。選手のみんなはとても頭もよく、本当に頑張っているので優勝した時はとてもうれしかったです。試験が終わったら二年生は修学旅行もあり、その後練習試合もたくさん組まれているので、私たちも選手にしてあげられる事を一生懸命考えます。大路先生は厳しいですが、その事よりも信頼されている先生なんだと思います。先輩方もよく先生を訪ねて来られます。」この日のグラウンドにも、18年前の準優勝した時のキャプテンが仕事の後にグラウンドに駆けつけていた。
「努力が奇跡を生む」というスローガンは大路監督の好きな言葉。「昨年、陸上部がインターハイに行ったんです。その時から、この言葉を意識して前に出すようになりました。本当は、今年のインターハイ出場を目標にしていたんですが、それが叶いませんでした。なにがいけなかったのか??と反省しながら、今回は滝川二高にぶつかっていきました。直前にけが人も出て、チーム的には本当に厳しかったんですが、それがかえって生徒達の結束を高めたようですね。」
私学の強豪校は、夏休み中の豊富な練習量で目覚ましく強くなってくるのが常らしい。そんな強豪校に勝てたのは本当に普段の努力が奇跡を呼んだのかもしれない。
「そりゃ〜、今回の優勝が、僕の一生の中で最高の宝ものですよ!!」「昨年全国大会優勝校の滝川二高に勝った後の方が大きなプレッシャーでしたね。僕自身も、仲間の声に支えてもらいましたが、生徒達も 神戸弘陵戦はかなり固かったですね。これまで学業とサッカーの両方をギリギリのところで守ってきた生徒達の最後まであきらめない気持ちへのご褒美だったようにも思います。」
「何もかも自分で決めないと気が済まない性格なんです。」という大路監督がデザインした新しいユニフォームが、22日の終業式で行われる壮行会でお披露目される予定。「いい壮行会にしますよ!!」壮行会も大路監督の頭の中ですでに描かれているらしい。
そんな監督は、選手のポジションも鶴の一声!!「中学までのポジションには全くこだわりませんね。ずーっと、サッカーの事ばかり考えていると、ある時ふーっと降りてくるんです(笑)」そうして変えたポジションの変更がこれまでにも良くあたって来たという。
最後に全国大会へ向けての取り組みをお聞きしたが、これまで培って来たことをもっともっと精度を上げたいとお答えをいただいた。。「相手がどうだから・・・と、今からいろんな事を変えても仕方ないですよね。これまでやって来た事を、その時々に選手自身が瞬時に判断できるように持っていければいいですね。滝川二高に向かっていった時のような気持ちで、初戦も頑張って来ます!!」
昨年、兵庫県代表が全国優勝したので今年はシード校となり、二回戦が初戦となり山梨学院大付属と対戦する。テレビ放映もあるというから、私たち市民もテレビの前でエールを送りたい!!
全国大会に向けての雑務もこなしながら、資金的な事にも頭を痛めている大路監督を応援するようにカンパの サイトも立ち上がったと聞いた。ぜひ皆さんの応援をお願いいたします!!
上の記事を書いたのは昨年末でした。
今日1月5日、ベスト4をかけての大分との戦いでしたが、善戦及ばす3−2で駒を進めることができませんでした。
でも、正月そうそうに、私たちに夢と希望を与えてくれた市西サッカー部の皆さん、本当にありがとう!!
おめでとう!!全国ベスト8!!<1月5日記>
試合のあった1月2日、3日と私たちはテレビの前で釘付けとなりました。
相手がどこ??戦っている場所がどこ?? きっとそんな事は彼らには関係なかったのでしょう。
普段の練習をきっちりプレーするだけ・・・そんな戦いぶりは私たちを感動させ、驚喜させてくれました。
おめでとう!!ベスト8!!
明日、1月5日(木)埼玉スタジアムで正午キックオフのようです。対戦相手は大分の大分高校。
がんばれ!!市西サッカー部!!! 自分達の力を発揮してください!!<1月4日記>