グーテンタークのママ 君田信子さん

グーテンターク

緑に包まれたこの地で店を開いて34年。
「昔ここでデートした二人が、孫を連れて来られる、続けていてよかったって思いますね」と当時の思い出を語る グーテンタークのママ 君田信子さん

グーテンターク 君田信子さん

「どうしてグーテンターク??」と問いかけたら「よく聞かれるんですよ。世の中には、外国語の名前の喫茶店やレストランなんか、山ほどあるのに・・・。」と、明るく笑いながら答えてくれた。「ドイツが好きでこの名前にしたんですけど、ドイツ語は分からないし、ドイツに行ったのも団体旅行だけなんですよ・・・」単にドイツが好きで、「じゃあ店の名前はドイツ語にしよう。」この場所なら『こんにちは』の『グーテンダーク』が似合うかな??ということで決めた。でも、そう質問したくなる雰囲気が、この喫茶店にはある。
ピクニックセンターの一角の、木々に囲まれた中にひっそりと建つ。山小屋風の外観もさることながら、中に入ると一段と趣がある。煙突のある山小屋風の建物は、冬の時期は薪の暖炉の柔らかい暖かさと木の香りに包まれる。

葉を落とした木々、鳥の宝庫・・・今の季節が一番すき!!

取材途中にカワセミが!
取材途中にカワセミが!

店内から、葉を落とした木々の間から、旧ピクニックセンターの冬枯れの河原を見やるママの横顔が優しい。

偶然の積み重ねのような成り行きで、ここで喫茶店を始めたのは、今から34年前。今の静けさがウソのように、ピクニックセンターがにぎわっていた頃だ。すぐ近くにフィールドアスレチックスもできて、店も大にぎわい。今は、それも懐かしい話。

最近は、この辺りが好きでウォーキングしたり、バードウォッチングや野鳥の写真を撮りに来る常連さんが多い。店内の真ん中の大きな木のテーブルは、さながら鳥の写真の発表の場のようだ。分厚い写真のファイルも置いてある。次々と勝手に新しい写真に入れ替わる。ここで知り合ったアマチュア写真家が、お互いに切磋琢磨して腕を磨いているらしい。

さぞや、ママさんも詳しいのだろうと思いきや「何回聞いても覚えられないんです~。カワセミくらいは分かりますけどね・・・。」

話しかければいくらでも相手をしてくださるが、大抵はカウンターの奥に引っ込んでしまう。

店内は薪のはぜる音が聞こえるだけ・・・。
そんな時、窓の外の川の方で、キキッーと鳥の声。カワセミだ!!この時期はカワセミの子育ての時期らしい。テラスから撮影成功!!われながらナイスショット。

薪ストーブは大変!・・・でも今は、薪割りはお客さんも楽しむ

薪ストーブ
薪ストーブ

薪の暖炉を見ながら、薪はどうして集められるのかと要らぬお節介で聞くと、これもまた話しが面白い。

つい8年ほど前までは、休日にご主人が、松食い虫で倒れた木などを担いで持って帰って来たという。チェーンソウで切って、その後乾かして薪にする。出勤前の一仕事で、その日使う分の薪割りをしたことも・・・。いろいろご苦労があったようだ。

8年ほど前に、どこかで伐採された木を載せたトラックと、偶然にも店の前で遭遇。それ以来、無料で木が手に入るようになった。

しかし、もっと面白いのは「薪割りをさせて欲しい」と言ってくるお客さんがあることだ。

「本当にいろんな方がおられるんですね~」とママも笑う。
どう見ても華奢なご老人が、最初にそう申し出られたときには、半信半疑だったようだ。でもその後は、お友達を連れてこられたり、楔(くさび)を買い込んできたり・・・。
おかげで地下の薪割りスペースは、すっかり道具も充実。

ここでの四季の楽しみは・・・

今年は、少し異常とも思える暖冬。ちょうど取材に行った日も暖かく、冬だというのにテラス席が大賑わい。「いつもなら、雪で来れない日もある時期なのに・・・。パラソルもまだ用意できてないのにね。」と、ママが苦笑している。

外では、メジロがさえずりながら群れている。
昔は、やはり春や秋に人が多かった。
春・・・コバノミツバツツジや山桜・木々の新緑がまぶしい。
秋・・・雑木の織りなす紅葉。

だが最近は冬が結構にぎわう。
木々が葉を落とすこの時期は、野鳥の観察には最高なのだ。
この辺りは、鳥を狙うアマチュア写真家の絶好のポイント。夏にはさわやかな風が吹き抜ける水辺がいい。
甲東園や甲陽園から歩いて上がっても30分ほど。すぐそばに豊かな自然がある西宮の環境に謝謝!!

時の流れをこの窓から見て・・・

 店に飾られた銅板工芸(コパークラフト)はママの作品   店の中の壁は、ママのギャラリー。 昔から絵が好きだったという、ママの絵や銅板工芸が飾ってある。 少し子どもから手が離れた頃、銅板工芸に出会った。習いに行ってた頃は、レリーフが多かった。  ある時、風景をスケッチしながら、銅版でも表現できることに気付いた。 それからは、銅板工芸にのめり込んだ。濃淡や遠近の表現方法を自己流で工夫した。定休日はママの製作の時間だそうだ。
にぎわっていた頃のピクニックセンター
(写真:西宮観光協会)

最近お店に来てくださる方は、団塊の世代も増えてきた。昔この辺りでよく遊んだり、子どもを遊ばせたりした世代だ。ゆったりした時間を取り戻すと、やはり昔懐かしい時間の感覚が戻ってくるのだろう。

それにしても、最近はこのあたりで水遊びする子どもがめっきり減った。整備された公園でも、手軽に水遊びができるからだろう。

「でもねぇ、子ども時代にこんな川での水遊びを経験しないと、大人になってからも来ないんですよね・・・」と少しさびしそう。

それでも、30数年の時の流れは、2代目が3代目を連れてやって来るという嬉しい事にもいき合う。恋人同士で来てたカップルが、今は子育ても一段落して素敵な雰囲気の夫婦になって来てくれたり・・・。

昔、ミックスジュースを半分ずつして飲んでいた女の子が、彼氏を連れて来てくれたり・・・。

店内は静かなギャラリー

店に飾られた銅板工芸(コパークラフト)はママの作品
店に飾られた銅板工芸(コパークラフト)はママの作品

店の中の壁は、ママのギャラリー。
昔から絵が好きだったという、ママの絵や銅板工芸が飾ってある。
少し子どもから手が離れた頃、銅板工芸に出会った。習いに行ってた頃は、レリーフが多かった。

ある時、風景をスケッチしながら、銅版でも表現できることに気付いた。
それからは、銅板工芸にのめり込んだ。濃淡や遠近の表現方法を自己流で工夫した。定休日はママの製作の時間だそうだ。

絵の話をしに来るお客さんも多い。
「今度、また持ってくるから見てや~」と言いながら、常連さんが帰っていった。

まるでここが、もう一つのリビングのようだ。
町の喧騒のすぐ近くにありながら、まるで別世界のような自然の中の店。またゆっくりしに来ようと思った。

[住所] 兵庫県西宮市甲山町46(旧 仁川ピクニックセンター内)
[電話番号] 0798-53-2261
[定休日] 木曜日・金曜日
[営業時間] 10:00~17:30

30数年の時を経てたたずむグーテンタークは、ハイキングやバードウォッチングの愛好家たちの憩いの場。常連客が多いが、初めて訪れる人も明るく迎えてくれる家庭的な雰囲気がある。窓の外を眺めて、何時間も過ごせそう。

(取材:O K)

投稿日時 : 2007-03-20 21:41:50

更新日時 : 2023-11-08 16:24:00

この記事の著者

編集部|tacoo

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