夙川の東にある大沢西宮線を、甲山を正面に見ながら行くと、右側に宙に浮いたような特徴のある建物が見える。
丁度、山本清記念財団の向かいにあり、登録有形文化財に指定されている浦邸である。
通りから見上げても一際目を引く鉄筋コンクリートの建物にレンガが凸凹している壁は、西宮市内にあるモダニズム建築の一つと言われている。
著名な数学者の浦太郎氏がフランス留学中に知り合った、ル・コルビュジェの弟子である建築家・吉坂隆正氏に設計依頼した邸宅である。
この建物はコルビュジエ建築の特徴を備えた、日本のモダニズム建築を代表する建物だ。
建物は「くの字型の柱」で二つの箱を挟んで吊り上げたような構造で、壁の一部に煉瓦を使用している。
玄関ホールや窓の一部に原色鮮やかな格子デザインを用い、モダンな感じを表現。
邸内に植えられている植樹の間から見える建物は、周辺には見られない独特の構造を呈している。
ピロティには子供たちが描いた自由な絵や模様が印象的だ。
非公開の建物なので、立ち入ることが出来ないが、二つの箱はサロンや食堂といったパブリック部門と、寝室やバスルームといったプライベート部分に分けられ、その中央部分は階段やホールの役割を持ち、両方の空間を繋いでいる。
吉阪隆正の初期RC造住宅作品。東西に並べた二つの正方形ブロックと中間の玄関部からなる。各ブロックは床と屋根のスラブを各辺中央のく字形柱で支えてピロティとし,煉瓦外壁に突出する小口が表情を与える。各所に現した原色が鮮やかなモダニズム住宅の佳品。
文化資産オンライン 浦家住宅主屋 解説文
内部の詳しい映像は「まちたび西宮」「夙川の阪神間モダニズム建築めぐりPART2【浦邸】」を参照。
【ちょっと余談】
1956年に建てられた浦邸の一年後に渋谷にできたヴィラ・クゥクゥが解体の危機に面していたが、2021年に女優の鈴木京香さんが購入されたという。
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