古くから文学作品などに登場することの多かった西宮。
関わりある作家・作品などをとり上げその魅力を探っていこうと企画されて続いている人気講座「西宮文学案内」が今年も始まった。
今年も9月12日~11月12日までに3回開催される。
場所:西宮市立勤労会館ホール
時間:15:00~16:30
受講料:500円
事前申し込み不要(定員300名)
第一回目は箕野聡子氏の「宮本輝の描く阪神間・西宮」
この文学案内は、西宮を中心に阪神間の文学が扱われてきているが、講師は作者自身であったり、研究者であったりする。
第一回目の「宮本輝」の世界に誘って下さったのは、神戸海星女子学院大学教授の箕野聡子さん。
この日は、宮本輝氏の「錦繍」を中心に、豊富な知識から宮本輝の背景や作品の楽しみ方、まだ小説が書かれた時代背景などにも触れながらのお話しだった。
宮本輝の作品は「読む人に元気を与える」と思う。それは「宿命を受け止め、生き続ける」というのが宮本輝の作品のテーマだから!
子供の時に出合った10冊の文庫本が、宮本輝の文学への入り口であり、宮本輝自身が、ドストエフスキーの「貧しき人々」が、その20年後の私に「錦繍」を書かせたと書いている。
「錦繍」では、14通の往復書簡で語られる元夫婦の亜紀と靖明の二人が抱える寂しさは、失ったものへの心残りだっただろう。
しかしそこには過去にとらわれながらも、前を向いて生きて行こうとする人間を描くという、宮本輝の世界がある。(当日の講演を聞いての筆者のメモより)
こうして物語や作者の背景、そのテーマにつながる他の作品の紹介…など、幅広い知識の中で組み立てられる箕野聡子さんのお話を聞きながら、もう一度「錦繍」を読み返してみようと思った。
第二回 10月31日 作品で語る青春記・かんべむさしの西宮マップ
経済が高度成長期を迎える一方、大学紛争が拡大していた1960年代後半、関学に通って明と暗をさまざまに経験しました。
「決戦・日本シリーズ」「上ヶ原爆笑大学」「黙せし君よ」の三作品を通して、その時代と、西宮の街の変遷を語ります。といっても硬くならないよう、肩の凝らない、気軽に聞ける話をこころがけます。<講師:かんべむさし(作家)>
かんべむさし氏プロフィール
西宮市出身。1970年関西学院大学社会学部卒。広告代理店で企画製作の仕事をし、途中SFコンテストに応募したのがきっかけで作家となる。往年の「深夜放送」世代でラジオ好きで、パーソナリティーも何度か勤めてきた。
場所:西宮市立勤労会館ホール
日時:2024年10月31日(水)15:00~16:30
受講料:500円
事前申し込み不要(定員300名)
第三回11月12日 西宮出身、第168回芥川賞受賞作家・井戸川射子氏を招いて 書くこと、読むこと
この回は、ラジオパーソナリティの増井孝子氏が聞き手となって、井戸川射子さ氏のお話が紡がれる。
私はただ言葉を正しく並べ、自分が思ったこと見たことをそのまま書き残せたらいいなと思って書いています。今回改めて、文章を書くこと、読むことについてみなさんと考えていきたいと思います。(井戸川射子氏)
井戸川射子氏プロフィール
1987年兵庫県生まれ。『する、されるユートピア』で第24回中原中也賞、『ここはとても速い川』で第43回野間文芸新人賞、「この世の喜びよ」で第168回芥川龍之介賞受賞。
場所:西宮市立勤労会館ホール
日時:2024年11月12日(火)15:00~16:30
受講料:500円
事前申し込み不要(定員300名)
西宮に関連のある文学作品いろいろ
西宮にはこれまで多くの作家が住んだ。
古くは文豪・谷崎潤一郎から佐藤愛子氏、村上春樹氏、そして昨年の芥川賞の井戸川射子氏、今年の芥川賞の松永k三蔵氏まで多くの作家が住み、数多くの作品の中に西宮の地名が出てくる。
そんなゆかりの作家や作品を集めたコーナーはこちら「西宮文学回廊」➡