2025年に神戸女学院は150周年を迎える。
その記念事業の一環として、「今津西線」からのキャンパスへのアプローチを整え、新棟を建てることが発表された。
西宮の岡田山にキャンパスを創建して90年ぶりに、ヴォーリズの思いを継承しつつ街に開かれたキャンパスづくりの第一歩が始まるという。
2025年秋完成を目指して新棟と新しいキャンパスゲートの整備
2023年9月『西宮を代表する重要文化財として、街に開かれた”新たな学び舎づくり”とは』という、新棟建築に向けてのキャンパス取材会が行われた。
90年前、ウィリアム・メレル・ヴォーリズが設計をしたころには、現在の「今津西線」は影も形もなく、当然ヴォーリズの設計に西門はなかった。
車でのアクセスは校内の歩者分離の観点からも、この西側からのアプローチが主となって来ていたが、残念ながら裏口感はぬぐえなかった。
2024年に新しく開設される心理学部の校舎ともして使われる新棟は、ヴォーリズが設計したオリジナルの建物に単に外観を寄せるということではなく、軸線を尊重するなどによりヴォーリズの理念を継承しつつ、ヴォーリズオリジナルの重要文化財の建物も際立たせるような調和のとれたデザインになるという。
西門からの高低差26メートルという立地を活用し、地下二階、地上一階の建物は西側に向かっては3階建てに見える。
150周年事業の一環として、今後10年ぐらいをかけて、順次、キャンパス内の他も整備が進んでいくようだ。
さらに街に開かれた神戸女学院キャンパスへ
神戸女学院は、今から90年前に尼崎藩の桜井家の別邸があった岡田山に神戸から移転してきた。
そしてその地形を生かしたヴォーリズのオリジナルの建物群は、岡田山の緑の中にひっそりとたたずみ、下の方からは学校の全容がほとんど見えないこともあり、これまで市民との交流が思うようにはかれないで来ていた。
ただ学校としてはこれまでも「まちたびにしのみや」や「地域創りリーダー養成プログラム」そして「金曜日公開プログラム」や「ヴォーリズ建築一般公開」など、地域とのかかわりも作ってきた。
現存しているヴォーリズのオリジナル建物12棟が、2014年に国の重要文化財に指定された。近年、ヴォーリズの建物に似せた外観の建築物も増えているが、模倣ではなく、改めてヴォーリズの思いを継承し、国民の共有財産でもある「重要文化財神戸女学院」の品格を未来につなぎ、市民に開かれたキャンパスにしようと動き始めている。
ウィリアム・メレル・ヴォーリズの建築物
90年前、神戸女学院が岡田山に引っ越してきた時、パートナーが女学院の卒業生ということもあった様でウィリアム・メレル・ヴォーリズが設計を担当した。
岡田山の緑と調和した淡いクリーム色の外壁に赤を基調とした多様な発色がある窯変瓦を葺いた南地中海様式の学舎群は、とても美しい流れを醸し出している。
桜井家の別邸跡にあった立派なイロハモミジとクロマツが残された中庭を取り囲む、理学館・文学館・図書館・総務館、そして音楽館や社交館など、美しい回廊で結ばれた現存する12の校舎とパーゴラが国の重要文化財に指定されている。
たくさん残されているヴォーリズの建築の中でも代表的な建物群であり、第二次世界大戦と阪神淡路大震災というおおきな災いも乗り越え、ほぼオリジナルな原型を保ちながら教育のための場として大切に使用されてきた。
2014年に国の重要文化財に指定されたが、これだけの建物群が指定されたというのは画期的だと言われている。
現在、神戸女学院ではツアー・マイスター(一般公開の案内を担当する学生ガイド)による「ヴォーリズ建築一般公開」も行っている。
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