観戦環境の更なる改善を目的に、銀傘(内野の一部座席を覆う屋根)をアルプススタンドまで拡張する構想を阪神電気鉄道株式会社が発表した。
工事期間や実際の屋根の形状、工法などは現在はまだ未定とのことだが、安全性の向上や快適性の向上などを目指し、大林組と構想の具現化にむけて早急に検討していくという。
元々、高校野球のために建設された甲子園球場が完成したのは、1924年8月1日。
十干十二支で甲子(キノエネ)の年だったことから、甲子園球場と名付けられたが、来年の8月1日がちょうど100周年記念となる。
そんな甲子園球場は、竣工当時は内野席までの屋根だったが、1929年にはアルプス席を増設し、1931年頃にはそのアルプス席までを覆う鉄傘になっていた。
しかし、太平洋戦争になって「金属供出」で、鉄製の大屋根は全て取り払われることとなった。
甲子園球場に再び大屋根ができたのは1951年ごろから。内野席の一部を覆った。
その後、屋根の材質は1982 年にアルミ合金製にリニューアルされ、2009年には内野席の両端までのガルバリウム鋼板製の屋根になった。
同時に、太陽光パネルの設置や銀傘に降った雨水の活用なども行われている。
近年の異常な夏の暑さとともに、救急搬送される多くが10代で、それもアルプス席や入場を待つ外周からが多かったという。
現在は、入場を待つ列はテントを張るなどの工夫をすることでその数は改善されて来ていたが、次の100年を見据えてアルプス席の屋根設置へと踏み切ったという。
まだ具体的な形も決まっていないが、「歴史と伝統の継承」ということからも、イメージ的には1931年ごろの屋根の形に戻すという。
工事は、大阪万博と同時進行は難しいということもあり、またシーズンオフの工事と言ってもアメフトの試合もあったりするので、作業できるのは一年のうち、ほんの数ヶ月の工期となるだろうと思われているようだ。
どのような具体的な計画が発表されるのか、今から楽しみにした待ちたいと思う。