主演女優賞を受賞した鈴木紗理奈主演の映画『キセキの葉書』

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キセキの葉書

(c)「キセキの葉書」製作委員会

祝!! 「キセキの葉書」主演の鈴木紗理奈さんが、スペインのマドリード国際映画祭で最優秀外国映画主演女優賞を受賞されました。

2017年7月17日(月・祝)に映画『キセキの葉書』が一日限りで特別上映される。
【満員御礼で終了いたしました】
上映時間は10:30~13:30~16:00~18:30~の4回(フレンテホール)
入場料は1200円
(当日券は殆どないので事前に購入されることをお勧めします)

ジャッキー・ウー監督・鈴木紗理奈主演のこの映画は西宮の風景がふんだんに出てくる。
それもそのはず、阪神淡路大震災の直前から西宮に住むことになった童話作家・脇谷みどりさんの実話に基づいた著書『希望のスイッチは、くすっ』が原作となっている。

どんなに暗闇の中にいても、笑いがあるはず!! クスッとした瞬間、あなたの心はもう前を向いている・・・ 童話作家:脇谷みどりさん

重度の障がいを持つ子と必死に生きている時、遠く離れて暮らす母親が認知症とウツになった。
親元に駆けつけられないが「せめて今日一日生きていて欲しい!そして翌日に配達されるハガキを待っていて欲しい!!」
こうして毎日祈りを込めて送ったハガキは13年11ヶ月で5000通になった。

その5000通のハガキをお母さんが大切にとってくれていたことで、著書『希望のスイッチは、くすっ』が出版でき、その本がきっかけで、今回の映画化が実現しているという。

この映画のチラシを見て、原作者の脇谷みどりさんのお話を伺いたいと取材の機会をいただいた。

脇谷みどり

==今回の映画の試写をご覧になられていかがでしたか??

原作は私の実体験ですが、今回の映画はドキュメンタリーではなく一つの作品ですので、もちろん実際の私たち家族や体験からは脚色されて映画になっています。

でも、試写会で見てくださった方々が「泣いて、笑って・・・そしていい映画だった!」と言って帰って行ってくださいました。

子供をおんぶしながらの演技は、鈴木紗理奈さんは肩が凝ったでしょうし、映画を作ってくださった本当に大勢の方々の忍耐と情熱に感謝しています。

==この作品、どんな方々に見ていただきたいですか??

障がい者や認知症の家族がいる方、苦しいことをいっぱい抱えてご自身が暗闇にいるような気持ちになっておられる方々、そして、普通の方にも見てほしいと思っています。

私も「もうあかん・・・」と思うことがいっぱいありました。

でもこれまでいろんな方々と出会う中で、自分がネガティブでなくなった時、ポジティブな人が集まってくるようになったんです。

苦しいことの中にも『笑い』が必ずあるのだと信じて欲しい。
そして、今日一日は生きよう!と思ってほしい。

==この映画、本当に西宮の風景がふんだんに出てくるようですね??

神戸市北区に居を構えていたのですが、かのこの施設までが遠く、おまけに当時重度の障がいを持ち体も虚弱だったかのこは施設に行っては体調を崩し入院するということを繰り返していました。

この子のためにも・・・と思って西宮に来たのは震災のほんの少し前でした。

今回の映画は武庫川団地の空き部屋がロケ現場となりましたし、映画には団地に住む方がエキストラとして出演してくださっています。

その他にかのこがお世話になっている青葉園や私がパーソナリティをしているさくらFM、武庫川や北山緑化植物園、鳴尾図書館など本当に色々な方にお世話になって撮影されました。そんな西宮も是非見ていただきたいですね。


私は一度も撮影現場には行きませんでしたが、かのこの日常の様子(動きなど)をお伝えしました。
かのこの役をしてくれた子役さんの演技には本当にびっくりしています。
今回のチラシの写真を見て「かのこちゃんが、出演したの??」ってよく聞かれました。

キセキの葉書 (c)「キセキの葉書」製作委員会

==映画になるとわかったのは・・・・

一番初めに出版社を通じてコンタクトがあったのは実は4年も前でした。
でもね〜、最初のコンタクトから丸2年は何の音沙汰もなかったんですよ・・・・。
もうてっきり、映画化の話はポシャッたんだと思ってました(笑)

本になった時もそうでしたが、大変な人生を歩んでいたり、辛い毎日を過ごしている人は多いだろうけど、こうして発表できるチャンスは少ないと思うのです。
そういうチャンスを頂いたのならば、声を発信したいと思っています。

==5000通のハガキを毎日13年間送るというのは大変だったでしょう??

大分に住む母に認知症とウツ症状が出て「毎日、死にたいと言っている。」という父からの SOSを聞いても、かのこがいる私は駆けつけることはできませんでした。

娘の命と母の命の選択を迫られたような気持ちでした。

行けないけど、母には生きていて欲しい!!
その一心で、毎日ハガキを出そうと思いました。

朝11時の配達までは頑張って生きていて欲しい!!
そして、夕方にはその日のハガキが良かったか悪かったかを○×にしたFAXを送ってもらう。こうして1日1日、命をつないで欲しいという思いでした。

クスッと笑える話は、長男にずいぶん助けてもいらいましたし、徐々に笑いのネタを探す仲間が増えてきたのです。笑いの仲間です。
なんでもそうですが、一人だけで抱え込まずにみんなで乗り越えるために仲間を作ることが大切だと思っています。

母が私のハガキをきちんと貼って保管し、ご近所のお友達に見せたようです。
で、面白いから次を見せてというリクエストが母に届いて・・・(笑)

おかげで母は4年で回復しましたが、途中でやめることで後戻りしてほしくなかったので、両親が西宮に引っ越してくることになるまで続けることになりました。

キセキの葉書

==とても前向きな脇谷さんですが、ずっと昔からそうでしたか??

かのこが5歳の頃までは、本当に暗闇の中を歩いていましたね。

堺に住んでいた頃、筋ジストロフィーの息子さんを16歳で亡くされたお母さんに相談行ったことがあったんですが、現状を伝えた私にその方は「よかったなあ。おめでとう。これでほんまもんの人生を歩けるんやで・・・」と。

今回の映画では、特別出演してくださっている雪村いづみさんがその役をしてくださっているのですが、どうしたらいいのかと悩む私に、いつも「あんたやで!!あんたが変わるしかないのやで」と。

こんなに頑張っているのに・・・という思いが強かった私には、その人の言葉の真意がわからずにいました。
ところが本当に嘘のような話ですが、ある日ある瞬間に突然、その言葉の意味が腑に落ちたんです。
それからですね、私が変われたのは。

==ご長男はアメリカで障がい児教育にかかわっておられるとか??

大学を卒業した後ペルーで遺跡を掘る・・・などと言っていた時期もありましたが、結局は、彼にとって一番身近な世界に身を置くことになったと思っています(笑)

アメリカと日本では、障がい者の人権が大きく違っているようで、いろいろ助言ももらっています。

そもそもアメリカには日本のような支援学校はないんですね。
普通の学校に普通に障がいを持つ子も登校している。日本も最近はそうなりましたね。
だから、社会のいろんなシーンに障がいを持つ人たちも普通に暮らしているんですね。

例えば、かのこの場合、経管栄養で10年間、鼻からチューブを胃まで入れていました。
胃ろうすることを医者から勧められた時も、最初はとんでもないと思って拒否したのですが、アメリカで、息子がそのことを話すと「そんな苦しいことを・・・虐待ですね」と言われたらしいのです。

確かにのどの中にチューブがあるわけですから、大きなストレスになりますね。

胃ろうにしてからのかのこは、本当に楽な生活が送れています。
キセキの葉書
 (c)「キセキの葉書」製作委員会

==かのこさんが5歳の頃が大きなターニングポイントでしたか??

そうでしたね。自分では明るくしていたつもりでも、夜になると涙が出ました。

彼女が5歳の時、歩けなくても幸せにしよう。
寝たきりの何が悪いの、と思えるようになった時、週3回のリハビリを1回にしました。
歩くためのリハビリではなく、呼吸維持や骨の変形防止のための、生きるためのリハビリでいいんだと。

そして、普通の人になれなくても、それが不幸なのではないと・・・。

こうして自分がネガティブでなくなると、周りにポジティブな人が集まってくるのですね。

かのこの場合不随運動がとても激しかったことと、小さい頃は病弱だったので西宮へ引っ越ししてきて高校を卒業するまでは訪問教育をお願いしていました。

高校を卒業した時が次のターニングポイントでしたね。

それまでが訪問教育だったので、社会性が全く育っていなかったんです。

青葉園にお世話になることになったのですが、社会性が付くまで半日登園が2年、リラックスしておしっこが出るようになるまで8年もかかりました。

外部とつながるということが命を繋ぐことになるんだと体験しました。

キセキの葉書
キセキの葉書

 

取材中、脇谷さんが何度も言われたのが「人間は一人で抱え込んだらいけない。」ということでした。

そしてそれがどんなにつらい毎日であっても「クスッと笑える場面が必ずあるはずだ。」と。
ただそれを気づかずに見逃してしまっている。
「最初は頑張って面白いことを探していても、だんだんそれが体質になってくる・・・。
暗闇を開けるカギは、笑いだ!!」と。

その後アルツハイマーになったお父さんの介護の日々を書いた「晴れときどき認知症」という本がまもなく出版される。

さくらFMの「風のような手紙」という番組も続いている。
サイマル放送で、パソコンで世界中の人が聞くことが出来るので、遠いところからもお便りが届くという。

すべての人が脇谷さんにはなれないかもしれないけれど、ご自身の体験を通した「生き方・考え方」に共感するところは多い。

 映画『キセキの葉書』の特別上映チケット購入は、フレンテ西宮1Fのインフォメーションでご購入ください。
 電話予約も可➡ 0798-37-5512(午前9時~午後5時)  

  <このイベントは終了しております> 

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 エグゼクティブ・プロデューサー:新田博邦
 撮影監督:小美野昌
 音楽:田中和音
 脚本:仁瀬由深
 監督:ジャッキー・ウー

 エンディング・テーマ 「耳をすましてごらん」
 作詞:山田太一
 作曲:湯浅譲二
 歌:小林啓子

 企画・制作・配給:ミューズ・プランニング
 特別協力:鳳書院
 製作:「キセキの葉書」製作委員会
 提供:グローバルジャパン

 撮影:2016年 9月〜
 公開:2017年 8月〜
 公開: 2017年11月4日~ 東京、大阪、名古屋、京都、仙台、福岡 順次全国公開(50館~予定)

 ☆関西先行ロードショー劇場公開 布施ラインシネマ 8月19日(土)〜25日(金)

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投稿日時 : 2017-06-25 22:43:03

更新日時 : 2023-11-10 14:55:05

この記事の著者

編集部|J

『西宮流(にしのみやスタイル)』の立ち上げ時からのスタッフ。
日々、様々な記事を書きながら西宮のヒト・モノ・コトを繋ぎます。

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