映画「繕い裁つ人」の三島有紀子監督にインタビュー

繕い裁つ人

オール兵庫ロケ、一部西宮でも撮影された映画「繕い裁つ人」を撮られた三島有紀子監督にお聞きしました。

神戸・川西・西宮とオール兵庫ロケで撮影された映画「繕い裁つ人」がいよいよ来年1月31日全国公開される。講談社『ハツキス』に連載中の人気漫画『繕い裁つ人』の映画化。
監督は 『しあわせのパン』『ぶどうのなみだ』の三島有紀子。
主な出演者は中谷美紀・三浦貴大・片桐はいり・黒木華・杉咲花・中尾ミエ・伊武雅刀・余貴美子など

<洋服を作る人を描く映画を作りたいと思っておられたとお聞きしましたが・・・>

仕立て屋の職人を描いたオリジナルストーリーを書いて企画を持ち込んだりしていたのですが、池辺葵先生の描かれた原作の「市江」にであった時、この人に寄り添いたいと思いました。
頑固ジジイとも呼ばれるくらいのこだわりで、最高の技術を提供しながら全身全霊で服を作る職人・市江の姿に惚れ込みました。しかもただ単なる職人ではなく、そのお客さまが一番大切にしている物を静かに読み取って、口に出すのではなく作品として示すのが市江です。

繕い裁つ人
繕い裁つ人

<市江に中谷美紀さんを選ばれたのは?>

出演された映 画『 B e R L i N 』という作品を見て、湖のような美しさを持っている方だと思いました。澄みきっただけでなく、不動の強さ神秘的な美しさを持っている人で、いつかご一緒に作りたいと思っていました。360度完璧というイメージの中谷さんに、洋裁以外は完璧ではない市江を演じてもらうことで中谷さんの綻びが見えてきたら魅力的だと考えました。

<映画の中でチーズケーキと山盛りのお団子が象徴的に出てきますが・・・>

神戸=洋菓子の街というイメージが小さいころからあり、神戸に育った主人公・市江をチーズケーキに、そして天才と言われた市江の祖母とは違う人生を選んだ市江の母には、着物を着ていてお団子が好きな人という設定を考えました。
映画に出てくる喫茶店はロケハンの時に知りましたが、道に面していて居心地がとても気に入りました。快く使わせていただけて感謝しています。市江もここでホッとしていたと思います。

神戸女学院

<この映画から感じてもらいたいことは?>
基本的に映画は、見てくださる方の感性にゆだねたいと思っています。

ただ、今は物がどこででも簡単に手に入り、服も簡単に捨てる時代になっていますが、物を大切に使って欲しいという気持ちも込めています。
今回の中谷さんの衣装デザインは伊藤佐智子さんにお願いできました。伊藤さんが引き受けてくださったのは『大切に作られた物を大切に使う』ということを表現したいということに賛同していただけたことも大きかったと思います。

<神戸女学院の図書館と西宮の洋服店をロケ地として選ばれた理由は?>

神戸女学院は私の母校でもあり、図書館は他にも探しましたが、やはりどうしても女学院の図書館を撮影したくて直談判しました(笑)
女学院の中では、この図書館と礼拝堂がとても好きな場所です。季節で言えば秋の女学院が好きです。秋になって図書館や礼拝堂に入ってくる、傾いた日差しが好きです。
西宮の洋服店は、映画の設定と同じように三代目の方が守っておられるお店でした。歴史が似ていることと、あの佇まいが気に入って使わせていただきました。とても優しくいろいろ教えてくださったことが忘れられません。

神戸女学院

<映画の公開が阪神淡路大震災から20年になりますが、そのことを意識されましたか?>
20年にぶつけようとしたわけではありませんが、この時期になったということで、今の神戸の姿を記録に残したいという気持ちになりました。
父に連れられてよく神戸の街を歩いていましたので、あの震災は本当に悲しかったです。
異国の文化が染み込んだ神戸。その独特の文化を持つ街が震災の時に失ったものも多かったですが、20年後の今、力強く誇り高く復興しています。ロケハンの時にそんな神戸の街をスタッフ全員で見渡して神戸の街に力をいただき、そこで一本の映画を撮ることで、まるで神戸に生まれたかのような想いになれた気がしています。

繕い裁つ人

西宮では、阪急西宮ガーデンズ内の「TOHOシネマズ西宮OS」で2015年1月31日より上映される。

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