クリエイティブ・ディレクター山下雅章さん

阪急西宮北口駅前(北西側) の公園が改修されて約3年。
すっきりフラットな広場になったこの公園に、以前あった時計塔が復元されて話題になっています。

緑色の鉄製で高さ6メートルの時計塔は、以前の公園を知る人にとっては懐かしい シンボルとも言えるもの。とりわけ、アニメ化された人気小説「涼宮ハルヒの憂鬱」とそのシリーズに登場する「駅前公園」がここをモチーフにしたものであることから、多くのファン(海外にもたくさんのファンがいます)にとっては特別な思い入れのある時計でした。

熱いファンの思いが届いて復元されたというドラマチックなエピソードがある時計塔ですが、もう一つ、すてきなドラマがありましたので、ご紹介します。

西宮北口駅前にしきた公園ハルヒ時計
ファンの声で復活した時計塔。デザイナー冥利につきますね。クリエイティブディレクター 山下雅章さん

西宮北口の駅前公園の時計塔をデザインしたのは私です。 西宮の美しい川や海、風をイメージして作りました。

クリエイティブ・ディレクター山下雅章さん

1本の電話が西宮流編集室にかかってきました。驚きながら話をうかがってみると、この時計塔のデザインを手がけたデザイナーご本人。時計の復元、修理を依頼された時計メーカーさんから当時の設計図が残ってないかと問い合わせがあったそうです。
「メーカーの担当者から『あの時計がえらいことになってるよ』と教えてもらったんです。そのときに初めて『涼宮ハルヒ』という名前を知って、まずは読んでみようと思って読み始めたら、面白くて、シリーズ全部読破しました。」
と電話口で熱く楽しく語ってくださったのは、宝塚市在住のクリエイティブ・ディレクター山下雅章さん。
復元をずっと見守ってきた私たち西宮流にとっても大切な時計塔ですから、ぜひにとお願いしてお話をうかがいました。

山下さんの作品レーザーカットのデザイン時計

全国各地でたくさんのからくり時計やモニュメントを手掛けてこられた山下さん。80年代から90年代にかけては、鉄をレーザーカットしてつくる作品が多かったそうです。1993年にできたにしきた公園の時計塔もその一つ。
あの流れるようなラインは、風光明媚な西宮の川や海、風をイメージしてレーザーカットしたものです。

鳴尾浜臨海公園のモニュメント時計も山下さんの作品
鳴尾浜臨海公園のモニュメント時計も山下さんの作品

「かつて夙川に住んでいましたので、西宮の良さや空気感はよくわかっていました。お話をいただいて、すぐにデザインが浮かびました。」
流れるような曲線で描かれた模様は、津門川の流れを愛し、「緑風の街」というキャッチフレーズを持つ「にしきた商店街」のイメージにもぴったりで、みんなに愛されました。ちなみに、ロケットのようにとんがったフォルムは、神戸や阪神間に多い教会や洋館の塔をイメージしたものだそうです。

ジェネレーションの違う人たちが動いてくれたことに感激 まるで原作の世界とシンクロするようですね。

にしきた公園の時計塔は、「数ある作品のうちの一つで、とりたてて印象に残っているものではなかった」という山下さんですが、お住まいの宝塚から今津線で西宮北口を通るたびに目にしており、公園の改修で撤去されたときには一抹の寂しさがありました。

設置当時を知る商店街会長もデザイナーとの出会いに感激。時計を眺めながら語るお二人。
設置当時を知る商店街会長もデザイナーとの出会いに感激。時計を眺めながら語るお二人。

「年月が経って古くなったんやから、仕方ないこと。役割を終えて撤去されるのはよくあることで、特別な思いはなかったですよ。それよりも、そのままの形で戻ってくるという方がびっくり。たくさん作ってきましたが、そんな話聞いたこともありませんでした。」

山下さんが驚いたのは、その経緯。若い人たちが署名まで集めて動いて、古いものを持ってこようとしたこと。興味がわいて、すぐに本を買って読み始めました。

「アニメとか漫画とかは全然知らなくて、涼宮ハルヒの名前も聞いたこともなかった。それが、小説を読んでみたら、ごっついおもろい。西宮に住んでたから描かれている風景が浮かんでくるし、もともと宇宙人や未来人やそういうSF的なものが好きやったから、すっかりはまった。」

シリーズを一気に読破して、「『驚愕 で終わりなんですか?続きはでないんですか。次何を読めばいいのか、さびしい 」と、すっかりハルヒファンになった山下さん。まだアニメを見たことがないそうですが、あの時計塔が登場する公園のシーンをぜひいっしょに見て感想を聞きたいものです。

時計デザイナーの存在にファンも喜んで記念撮影。山下さんにとっても、うれしい出会いだった。
時計デザイナーの存在にファンも喜んで記念撮影。山下さんにとっても、うれしい出会いだった。

「一度無くなったものが、いろんな偶然が重なって、また復活する。不思議ですよね。まさに物語とシンクロしている。僕の知らないところで、ジェネレーションの違う人たちが動いてくれたことに感動しました。

どんな人たちなんやろ、と、とても興味がありました。」

4月12日、商店街のお祭りに合わせて催された除幕式で山下さんはハルヒファンたちに出会うことができました。

一昨年、西宮流が開催した「SOS団in西宮に集合よ!」で知り合った顔見知りのファンたちもたくさんいて、和やかな雰囲気。だれもが礼儀正しくて、その場を楽しんでいる様子。時計塔の復活を心から喜んでくれているのが伝わってきます。

「おタクと言われる人たちが、今までは理解できなかったんですが、すごいパワーですね。びっくりしました。日本もすてたもんじゃないな、って思いました 。」

こんなに熱心なファンがいてくれることを「デザイナー冥利につきますね」 と喜ぶ山下さん。

ハルヒ時計と呼ばれ、ファンにとってシンボリックなものになった時計塔。

「長いことやってると、何かお役に立つんだな と目を細めた山下さんの横顔にものづくり職人の気概を感じました。

ハルヒ時計のデザイナー、山下さん

【山下雅章さん プロフィール】
有限会社ドゥ・セールス・プロモーション代表取締役
大阪芸術大学デザイン学科グラフィックデザイン科卒業

広告代理店、ディスプレイ制作会社で大手企業の広告、パッケージデザイン等を手掛ける。

1981年に独立。主にディスプレイ・POPからグラフィックデザイン、商業施設まで幅広く活動。

モニュメントやカラクリ時計のデザインも全国に展開。

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