『学びたい!知りたい!から授業が生まれ、関わる人が生徒であり先生にもなれる。そしてキャンパスは西宮市内の店舗やまちの交流拠点等。企業・団体との協働によりいつもの身近なスペースが学びの場になります。』と言う学びの場を街のあちこちで展開しているNPO法人なごみが主催する『Machigakau(まちがく)』のひとの授業に参加してきた。
今回の「ひと」の授業は、いつもお世話になっている酒ミュージアム(白鹿記念酒造博物館)の弾正原 佐和館長。
ご本人の人となりやミュージアムの魅力をお聞きしてきた!!
弾正原 佐和 さん/酒ミュージアム館長
「弾正原(だんじょうばら)って、全部濁音なんですよ。そういうことも原因しているのか?姓だけを伝えていると、なぜか大柄な男性をイメージされるようで。。。。。実際にお会いしたら『え?!』てお顔をされたり・・・・」と、華奢な弾正原 佐和さんが会場の笑いを誘いながらお話がスタートしていった。

美学・美術史で学芸員の資格はあったものの、染色工芸を専攻していた大学時代から「酒と桜の博物館の学芸員」へと大きく環境が変わったのは1993年。
学芸員の仕事は多岐にわたり、関わる施設によってもその方向は大きく変わる。
そういう意味でも、研究してきた専門性をそのまま仕事にできる場面は比較的少ないのかもしれない。
関わった施設によって、一からの勉強やキャリアアップが必要になってくる。
弾正原さんも「お酒の作り方も歴史も全く知らないという全く違う世界に飛び込みましたので全て一からの勉強でした。そういう意味ではとても大変でしたが、学生時代に培った人との関わり方や一つのことに向き合う姿勢がとても役に立ったと思っています。」と話す。
「郷土史家/堀内泠(きよし)さんの担当をさせていただきました。まだご存命だった頃には、必死に勉強しながら先生の長いお話をお聞きしました。実際にお聞きしていたことが、今の展示にも役立っていると思っています。」

入社2年後に阪神・淡路大震災を経験し、文化財であった建物そのものや展示品の整理や修復という大変なことにも向き合った。その後、2012年には館長代行という現場での実質的な責任者となった。
こうして酒ミュージアムの館長となった2021年は、まだコロナ禍の中だった。
「自分に何ができるのか?自信はありませんでしたが、人のご縁に恵まれここまでやってきました。何も分からない状況で入社した時のことを忘れずに、分からないことを分かりやすく伝える展示を心がけています。」
2012年には近代史が専門で古文書も読める学芸員が入社し、それまでの”先人の資料を守る!”という姿勢から”積極的に活用していこう!”という方針に変えてきた。
「古文書って、書いてあることがわかるととても面白いんです。でも、なかなかタイムリーに展示につなげられないので、今は博物館の公式ウェブサイトでコラムとして担当学芸員が発表しています。結構面白い小ネタも多いので、読んでみてくださいね!!」
コラム「酒トーク」はこちら➡︎
酒ミュージアム(白鹿記念酒造博物館)
酒ミュージアム(白鹿記念酒造博物館)が開館したのは、辰馬本家酒造の創業320周年の1982年(昭和57年)だった。
「日本酒の文化と歴史を正しく発信したい!」というコンセプトで創設されている。
その時に、桜博士/笹部新太郎氏の遺言で西宮市に寄贈されていた膨大な資料の管理を引き受け、以来『酒と桜の博物館』として44年の歴史を持つ。

酒ミュージアムは、酒の文化ゾーンとして「記念館」と「酒蔵館」の二つで成り立っている。
レンガ造りの酒蔵を利用した開館当時の「酒蔵館」は、阪神・淡路大震災で甚大な被害を受け消失した。
震災後3年、旧辰馬本家酒造本蔵(明治2[1869]年築)を「酒蔵館」として復興し、再び「記念館」との併設で開館し、「酒ミュージアム」の愛称がつけられた。

震災後にリニューアルされた酒蔵館
酒ミュージアムでは、酒や桜をテーマにした企画展が開催されている。
新しくわかったことをできるだけ早く皆さんにお知らせしたいと、博物館のウェブサイトでは『酒トーク』『桜つれづれ』というコラムで発信している➡︎
「自分たちの知ったことを、多くの方々と共有したい!」という弾正原さんの想いが現れている。
蔵を利用した酒蔵館では、酒造りの道具などが中心の展示になっている。

酒蔵館の中には、阪神・淡路大震災の時の様子が保存されているエリアもある。
震災直後、文化財となっていた物の確認や修復は困難を極めたようだ。
この日のイベントの後半に行われたフィールドワークで出された問題を一つご紹介しておこう。
答え合わせは、ぜひ、酒ミュージアムにお出かけください!
<問>なぜ西宮は、日本屈指の日本酒の生産地になれたのでしょう?
<酒ミュージアム>
住所:兵庫県西宮市鞍掛町8-21MAP
TEL: 0798-33-0008/FAX: 0798-32-2790
開館時間:午前10時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日:火曜日(祝日の場合は翌日、連休に含まれる場合は連休明け休館)、年末年始・夏期休暇
公式ウェブサイト➡︎
学芸員の仕事
『学芸員とは、博物館や美術館、動物園などで、資料の収集・保管・調査研究・展示・解説・教育普及活動を行う専門職員で、「博物館法」で定められた国家資格が必要な職業です。』とある。
弾正原さんの言葉によると「うちのような小さなところでは、雑用からなんでもやります!」ということのようだが、企画展示から、資料整理、研究など仕事の範囲は広い。
学生時代に専門に研究していたことだけで仕事になるということではなさそうだ。
資料の整理も、詳しくお聞きするとなかなか大変な仕事のようだ。
「学芸員の仕事の一つは、資料を散逸させずに整理して保管することです。ただそうはいっても、保管するには場所も必要になってきますので、取捨選択に迫られることもあります。おまけに結構限られた期間の中での作業となることも多いので大変です。」
もう一つ大変なのは、それらの資料が置かれていた環境の問題があるようだ。
例えば、建物が取り壊される中に保管されていた資料を移動させた時は、マスクを二重、三重にしても、作業が終わると口の周りが黒くなるような過酷な現場もあったという。
その場の膨大な資料を大まかに整理して、連携している博物館などにも情報提供し、分散して保管するという方針を選んだこともある。
「実はもう一つ、意外に重要なことがあるんです。明治とかそれ以前の物・・・となると、一般の方でもなんとなく大切に保管されるんですが、それが昭和期後半以降の物になると結構杜撰なんですね。ただ、将来、必ず現在も含めて重要な歴史となりますので、それらを整理していく私達の取捨選択が重要にもなります。」
学芸員の仕事の一端に触れることのできた貴重な時間だった。
Machigaku(まちがく)のひとの授業
冒頭にも書いたが、Machigaku(まちがく)とはNPO法人なごみが主催している町全体を、街に住む人たちを巻き込んで学びの場にしたいという試み!
企業や団体も巻き込んで、さまざまなテーマで年間100近い授業を展開している。➡︎
今回、弾正原さんの企画をしたのは「ひとの授業」のチーム!
チームのリーダーの村松賢一さんにお聞きしました。

①「ひとの授業」を主催されている狙いは?
➡︎そもそもこの授業は、地元西宮で活躍されている、西宮に縁のある、興味深い「ひと」をお呼びして、その方から様々なお話を伺いながら、参加者と一緒に考え、学び、対話していく授業として3年前に始めました。
(A)面白い活躍をされている西宮の「ひと」のお話が聴けて、何らかの体験もできて、その人とも参加者同士も繋がれる
(B)その人の生き方・働き方・考え方に触れて、自分自身にも刺激をもらえる
(C)結果的に西宮というまちや人に愛着と誇りが持てるようになる!
② 3年されてみて、今、お感じになっていることがあれば教えてください。
➡︎私にとって、企業での生活(単身赴任)に終止符を打って、18年ぶりに西宮に戻ってきて、全くこの地元に知人も関係先もなかった訳でしたが、この活動のお蔭で沢山の知り合いや関係先が増えました。
またそうした魅力的な「ひと」との出会いを通じて、西宮というまちに、そこに暮らす「ひと」にも随分と愛着が湧いてきたことは紛れもない事実です。
とにかくこの授業の企画・運営を一緒にやっているメンバーにもすごく親近感やチームワークが芽生えてきたことも私のリタイア後の大きな財産になっています。

③ まちがくの魅力を教えてください。
➡︎私自身はこの「ひとの授業」以外に、「ネッツトヨタ神戸さんとのプロジェクト授業」のコーディネーターもやっています。
私自身、まちがくを通じて、魅力的な「ひと」との出会いもそうですが、地元の企業さんともフラットにお付き合いさせていただき、企業人としてのスキルや経験も活かす場を与えてもらっています。
また普段お付き合いのないような大学生の皆さんともこの授業を通じて、色々なやり取りをさせていただいて、世代を超えた交流をさせていただいています。若い方の発想やエネルギーは私のようなエルダーにとっても大きな刺激になっています。
とにかくこの「まちがく」というプラットフォームには出会いあり、スキルや経験を発揮する場があり、世代を超えたつながりもあって、さらに当然学校ですから新しい学びもあります。私としては、自分がそうであったように企業をリタイアされた「定年後シニア」の皆さんにこそ、こうした場に飛び込んできてほしいと切望しています!
村松さんからは、熱いメッセージもいただいた!
きっと、この熱量が Machigaku(まちがく)➡︎の魅力なのだろう。
そんな Machigaku(まちがく)2025年度の締めくくりとしての全校集会が2026年2月28日(土)に武庫川女子大学内のMM館マルチメディアホールで開催される。
これまで Machigaku(まちがく)にご縁がなかった方の参加もOKなので、覗いてみるのもおすすめ!!
きっとあなたの世界が広がるはず^_−☆
今年度も多くの学びが生まれた Machigaku(まちがく)の全校集会
【日時】2026年2月28日(土)13:30〜17:00
【場所】武庫川女子大学内のMM館マルチメディアホール
【主な発表授業・プロジェクト】
・西宮阪急×まちがく プロジェクト授業
・ネッツトヨタ神戸×まちがく プロジェクト授業
・阪神園芸×まちがく プロジェクト授業
・コープこうべ×まちがく プロジェクト授業
・ウェルビーイング阪急阪神×まちがく プロジェクト授業
・さくらFM×まちがく プロジェクト授業
・生成AIの授業チーム
・ひとの授業チーム
・企業の授業チーム
・防災の授業チーム
・スポーツの授業チーム
・多文化、国際の授業チーム
・まちがく調査チーム発表
・プレみや「まちがく部」など
【参加資格】興味のある方ならどなたでも!!
【申込方法】https://forms.gle/kmsMb2CVG7kUyRf26


























