2023年7月に起工式が行われて工事中だった『兵庫県立西宮総合医療センター(仮称)』が、阪神国道駅横にかなり完成形の外観が見えてきたことで市民の関心が高まってきているのを感じる。
この新病院は、県立西宮病院と西宮市立中央病院が統合され、高度急性期医療と救急医療を提供する地上11階建ての阪神間の中核的病院になる。
災害時拠点病院でもあることから病院は免震構造で、嵩上げされ地下階は造らない。
敷地内の救急ワークステーション棟には救急隊員や救急車も常駐し、病院屋上にはヘリポートもできる。
新病院についてのお話を、西宮市立中央病院・病院統合推進課にお伺いしてきた。
令和8年7月1日開院予定の『総合医療センター』
阪神国道駅の東側、国道2号線北側、元アサヒビール西宮工場の跡地の一角にできる新病院の外観が見えてきて、私たち西宮流の過去記事が頻繁に検索されるようになっているのをみると、やはり市民の期待や関心が感じられる。
そこで関係各所にいろいろ取材を進めている最中に、令和8年7月1日開院予定!!というニュースが飛び込んできた。
ということで、外観が見えてきている医療センターの進捗状況やサービス内容、特徴などを西宮市立中央病院・病院統合推進課でお聞きしてきた。
オープンは2026年7月1日の予定。
現在外観が見えてきているが建物が完成するのは今年の冬ごろとなり、その後医療機器の搬入なども含めた準備期間を経て、2026年7月1日の開院を目指しているという。
「現存している二つの病院が、それぞれの通常診療をこなしながら新病院の開院に向けて組織の統合などなどもしつつ、開院直後からスムーズに医療ができるようにするのは本当に大変なことです。もうすでに、これまでも様々なチームで話し合いや検討を重ねてきていますが、いよいよ医療機器が入ってくる時期になればもっと大変な労力になると思います。通常業務に加えて、新病院関連の業務がどんどん増えてゆくので、特に現場を支える医療従事者の方々にとってはとてもハードな1年間となりますが、両病院に関わる方々全てが『最高の医療を届けよう!』という熱い思いを持っておられることを感じています。私たち事務方もできる限りのサポートをしながら、市民の方々が安心して受診していただけるよう頑張ります。」と病院統合推進課の職員の方々。
新しい総合医療センターは阪神西宮駅近にある兵庫県立西宮病院と、阪急門戸厄神駅の近くにある西宮市立中央病院が統合されるので、これまでにあった双方の診療科目に「脳神経内科」「心臓血管外科」「精神科」の3科が加わり35診療科、病床552床となる。
阪神圏域で中核的な病院となり、高度急性期医療や有事の際の災害時拠点病院となることから、救急医療・災害医療も提供することを想定して様々な工夫もされているようだ。
災害時拠点病院となることから、嵩上げした土地に地下階のない11階建の病院となるが、主要な動線となる駅やバス停に近い公園側入口、東側のホームセンター側の入口からはスムーズに2階へと誘導されるようになっていて、2階が受付や外来受診などのスペースになる。

どんな人が利用できるの?
新しい総合医療センターは兵庫県立西宮病院と、西宮市立中央病院が統合されるので、これまで県・市それぞれの病院の診療科に受診しておられた方は、基本的に、開院後もこちらの新病院に通院することができる。両病院のカルテなどはもちろん統合され、患者情報は引き継がれる。
またこれまで二つの病院にあった診療科目に「脳神経内科」「心臓血管外科」「精神科」の3科が加わり35診療科ができるという。

これまで両病院に通っていた人たちにとっては、便利になる人、ちょっと不便になる人・・・それぞれあるかもしれないが、阪急今津線の阪神国道駅や国道2号線の阪神バスのバス停からは直ぐ近くで利便性は高い。
また、病院の北側には立体駐車場が隣接して建てられ、病院2階の外来フロアーに渡り廊下でつながっている。
新規外来患者は原則、病状によってかかりつけ医からの紹介状を持って受診することになる。
いろいろお話する中で、今では県・市の両病院とも、紹介状がない初診の受付だと7000円程の初診料が掛かるとお聞きして少し驚いた。
健康な時はあまり意識しないことも多いが、かかりつけ医を考えておくことが必要だと、改めて痛感した。
新しく整備される設備の特徴など
新型コロナの感染は、世の中に様々な影響を与えてきた。
あの時期、一番大変だったのは病院だっただろう。
あれ以降、感染症対策は必須になっている。
「新病院は感染症対策にも対応しています。あの時、動線を分けるのが一番大変でした。そんな体験も含めて、その時の感染拡大のフェーズに応じて柔軟に対応できるように通常の外来とは別に感染症患者の入口を設け、その後の治療、入院へと続く動線として専用エレベーターも設置します。病棟には、感染拡大の状況に応じて柔軟に対抗できるよう空調や陰圧設備なども設置します。」
また、重症/重病患者を受け入れることになる屋上ヘリポートからは、手術やICUなどへのエリアまで直通でつなぐ専用エレベーターも備える。
「今後、新しい設備や部屋が追加で必要になることも想定して、将来増築に活用ができるスペースも設けています。」
災害拠点としての役割
南海トラフ地震の発生確率が非常に高いとされている状況の中、西宮市でも海岸部などでの様々な対策も進められている。
そんな中、新しくオープンする新しい総合医療センターは当然免震構造になっている。
浸水の被害を想定して、嵩上げし地下を作らない設計になっているが、基礎工事の時には、酒造用地下水「宮水」の保全にも配慮しなければならないという、西宮ならではの困難を伴う工事でもあったという。
また、広域の災害の時の傷病者を受け入れることも想定して、通常の外来患者の使用が少ない一階部分には、トリアージや処置エリアも設定されていて、非常用電源や医療ガスなども設置される。
同時に、災害時に援護がなくても3日間は自力で稼働できるだけの発電や水なども確保できるようになっているという。
また国道2号線沿いには、消防が常駐する2階建ての「救急ワークステーション棟」もつくられる。
大塚中公園
阪神国道駅の東側、新病院との間に新しい公園(大塚中公園)ができる。

幼児向け遊具や健康遊具がある芝生広場と土の多目的広場があり、周りにはウォーキングコースが造られる。
また、芝生広場と多目的広場の間のスペースにはパーゴラも設置される。
すぐ隣の病院を利用する方のちょっとした憩いの場ともなるのだろう。

7月から工事が始まる予定で、来年3月末の完成予定だそうだ。
(工事の進捗状況によっては、オープンの時期は改めて市のホームページなどで公開される予定。)
兵庫県立西宮病院と西宮市立中央病院
兵庫県立西宮病院は、1936年(昭和11年)に開院した。
3次救急病院、災害拠点病院であり、県指定のDMATの指定病院でもある。
また周産期(妊娠22週から出生後7日未満までの期間)、がん検診、腎移植など高度先進医療を提供している。

西宮市立中央病院は1921年(大正10年)に西宮町立診療所として久保町に開院した。その後、1939年に西宮市立市民病院と改称。戦火で焼失したが、用海町での再建を経て、染殿町へ移転した。1960年には西宮市立中央病院と名称を改め、1975年に現在の林田町に移転し、現在に至っている。
1次救急・2次救急を引き受け、がん診療や広域的呼吸器感染症への対応などの地域医療などを担っている。
この二つの病院が統合される新しい総合医療センターは、これらの二つの病院が担ってきたことに加えて、ゲノム医療、再生医療、遺伝子治療の分野の先進医療への対応も目指す。
また、地域医療従事者の育成拠点ともなる。
西宮市は、公立病院だけでなく、民間医療機関も積極的に救急医療に取り組んでおり、連携して医療を提供する体制作りが重要であるという特徴があるようだ。
恵まれた環境に住んでいることを改めて大切にしたいと思った。

工事現場の仮囲いに市制100周年を記念したアート作品が完成!!

現在、板囲いになっている工事中のエリアの一角に、約200枚の鳥の形のシートを貼り合わせた一つの大きなアート作品が完成したことが西宮市より発表された。
工事の進捗状況の関係で8月末ごろまでの限定だそうだが、1枚1枚のシートには2025年4月に開催された市制施行100周年記念イベントにおいてさまざまな年代の方々が作成したもので、「私の好きな西宮」をテーマに、西宮で出会った好きな人、好きな食べ物、好きな場所、好きな言葉等が思い思いに描かれている。
市と西宮市文化振興財団が主催し、兵庫県立西宮病院、西宮市立中央病院、熊谷・新井・高階特別共同企業体の協力のもと実現したようだ。
また全体のアートデザインは就労継続支援B型事業所の輝き工房で、遠目に見た際に病院を連想させるよう、上下左右の鳥の群れが真ん中でクロスする形になっている。
みやたんとはばタンも、開院を心待ちにしているようだ。