酒造業と切り離せない「和樽」。酒どころ灘五郷には樽屋、桶屋、木箱屋など容器を作る職人や、材料の木を供給する木取業、箍(タガ)を作る輪竹業、樽栓業などさまざまな専門職がいて活気がありました。
時代の流れとともに廃業が相次ぎ、樽屋は今や全国で数社が残るのみ。そんな貴重な存在である樽屋が、西宮市に1軒残っており、伝統を継承しています。
西宮市今津山中町にある「株式会社 田中製樽工業所(樽商)」
木の香がすがすがしい工房では、社長の田中啓一さんが、組立てから箍を締め、蓋や栓まで、約20の工程を一人でこなして、大小さまざまな美しい樽を作り上げています。
樽ひと筋 匠の技と柔軟な発想
西宮流では2008年に樽商さんを取材させていただきました。
その記事は、こちら↓
和樽への熱い思いと、熟練の手さばきに圧倒された楽しい取材の中で特に印象に残ったのが「改正樽」という言葉。
「改正樽」は明治の頃から行われてきた技術の一つ。田中社長は当時から改正樽に挑戦したいと意欲的でしたが、10年以上を経て、エコやSDGsが世界的に謳われている今、若い人たちに注目されている「アップサイクル」に通じるものですね。
また、「和樽を後世に伝えたい」という強い思いも印象的でした。椅子や傘立て、植木鉢、小物入れなど、木肌の美しさを生かした商品を作り出し、幅広い層に和樽の魅力を伝えています。
取材当時よりネット通販で販売されていますが、リピーターも多く、店舗のディスプレイに使いたいという新たな販路も生まれています。
また、響きの良い樽太鼓はその手軽さから、幼稚園や自治会などのイベント用に人気を集めています。
暮らしの道具としての和樽の魅力
樽をもっと身近に感じてほしい、知ってほしいと、この春、ホームページをリニューアルされました。若い人にも見ていただきたいと、スマホ対応に。
通販取扱商品の中でも根強い人気なのが、味噌樽(漬物樽)。
天然杉からつくられた樽は、水分を適度に吸い取り、食品の味を保つのに最適。杉材の成分タンニンは風味を増すのを助ける働きがあるそうです。接着剤やくぎなどは一切使わなくても酒が漏らない、和樽作りの技術が生きています。
プラスチック容器にはない奥深さを楽しんでみませんか?
注文はこちらのサイトから。
せっかく地元にあるのだから、実物を見て直接購入したいという方は、電話でお問い合わせください。持ち帰れば送料の節約になりますね。
株式会社田中製樽工業所
[住所] 西宮市今津山中町6-26
[TEL] 0798-34-0032
[FAX] 0798-34-0032